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第7話

「私が本当に優勝者なの?」

不安げに尋ねると、児島先生は微笑んで頷いた。

「おめでとう、清良。君は見事に次の大会に進む資格を手に入れたんだよ!」

その知らせはすぐに学校にも届いた。

初めて授業に戻った日、母は授業中にもかかわらず、教室に飛び込んできた。

授業中の先生を気にも留めず、クラス全員の前でこう叫んだ。

「あんた、数学のテストはいつもぎりぎり合格するだけじゃないか!いったいどうやって大会に入った!」

「もし疑いがあるなら、公式に通報して調査をしてもらってください」

授業の先生は慌てて母を宥めようとした。

「カンニングだなんて、清良が運が良かったのかもしれませんよ」

そうだ、私のような長年ぎりぎりの成績を取っていた生徒の話は、信じられるはずがない。

「諸谷さんも、こんな良い知らせがあったなら、どうしてお母さんに教えなかったの?君じゃなくて、校長先生から聞いたから、お母さんが怒ったのよ」

「カンニングをする娘なんて、私にはいらない!」

母はそう言い残し、学校を出てすぐに教育委員会と大会運営に私が不正をしたと通報した。

母が私の味方をしてくれないことはわかっていたが、まさか私を追い詰めようとするなんて思いもしなかった。

もし私が本当にカンニングしていたなら、彼女は正義感溢れる母親として称賛され、私は一生再起できないだろう。

幸いなことに、私は完全に潔白だった。

教育委員会と大会運営からの返答はどちらも、諸谷清良に不正の疑いはない、という内容だった。

真っ白な紙に、私の潔白がはっきりと記されていた。私のこの成績は、全くもって正当なものだった。

しかし、母は自分の過ちを認めるはずもなく、ただ授業の先生の「運が良かった」という言葉に乗っかるだけだった。

だが、それでも別の声が聞こえ始めた。

「清良は、これまで毎回数学のテストがぎりぎり合格点だ。一点も多くも少なくもなく、いつも同じだ。もしかして故意なものでは?」

その言葉が放たれると、職員室は静まり返った。

そうだ、何年もの間、問題の難易度に関係なく、私の成績は常に合格点だった。

今さらそんな話をされると、まるで私がわざと点数をある程度に絞っていたかのように思えてしまう。

その場には、息を呑む音が広がった。

母の顔は青ざめていた。

やがて、誰かがその静寂を破った。

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