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第10話

16、

大会が終わった後、児島先生は私を誰も知らない場所に連れて行ってくれた。私と彼女以外、その場所を知る者はいない。

授業もオンラインに切り替えられた。もう一切のミスは許されない。

大会の結果が発表されれば、母は私が左利きだといずれ知ることになるだろう。

成績が発表されたその日。

職員室の先生方が母に祝辞を述べていた。

当然、母は信じなかった。

「何を言ってるの?杨轻の右手は折れてるのよ、どうやって字を書くっていうの?きっと見間違いだわ」

先生はすぐに母を連れて、学校の成績や他の細かい点まで丁寧に確認した。

「間違っていません。清良は本当に天才だよ」

母はふらつきながら、何度も「違う、違う」と呟いていた。そして、再び教育委員会や大会運営に報告し、今度は児島先生の塾が審査委員会を買収したと疑いをかけた。

しばらくの調査の後、塾の潔白が証明された。

母は次に機械のミスだと主張したが、職員は母に対して不耐煩な様子を隠さなかった。

「あなたって母親資格じゃない?自分の娘が成功するのがそんなに嫌?」

何度も検証されても、私の成績は潔白だった。

最終的に、母はようやく私が左利きであることを知った。

彼女の最初の反応は、私の左手も使えなくしてやろうというものだった。

だが、彼女は私の居場所を見つけることができなかった。そこで、母は直接決勝戦の試験会場の外で待ち伏せすることにした。

しかし、それくらい私やあ児島先生は想定していた。国家レベルの選抜試験がそんな簡単に邪魔されるはずがない。

結局、彼女は私が数人の警察に護衛されながら試験会場に入る様子を、ただ見守るしかなかった。

母が怒りで歯を食いしばる姿を見て、私は思わず笑ってしまった。そして、器用な左手を高々と掲げた。

私は絶対に優秀賞を手にし、より高い表彰台に立つ姿を母に見せてやる。

17、

運命は再び私に微笑んだ。

私は優秀賞を獲得し、東大への推薦枠を手に入れた。

涙が自然とこぼれ落ちる。周りには、何度も大会に参加してきた同級生たちが並んでいる。もし安奈が教えてくれなかったら、私は東大に入るもう一つの道があることを永遠に知らなかっただろう。

この瞬間、私は「視野が狭い」という言葉の意味を痛感した。

他の人にとっての出発点に、私は17年かけてようやく辿り着いたのだ。

だが、
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