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第2話

その人が私であってはならないだけだった。

小学の頃、学校で数学のコンテストが開催され、私は全校で1位を取った。

表彰状を受け取った瞬間、私はすぐに家に走って帰った。あまりにも興奮していたため、途中で転んでしまったが、痛みを感じる間もなくすぐに立ち上がった。

最速で母に表彰状を渡し、その喜びを分かち合おうとした。

母はそれを一瞥すると、私の表彰状をビリビリに破り捨てた。

「どうして、どうして得意なのは数学なんだよ!」

「私の娘なのに、なんであいつにそっくりなんだ!」

「父親に似ているからって、あんたは愛されないわ!」

「わざと私に反抗してるんでしょ!何で数学なんか勉強するんだよ!」

私の父親が数学先生だったという理由だけで、母は私の数学に関するものすべてを破壊した。

一枚一枚のテストで満点を取っていたその赤い100点も、すべて彼女によって燃え盛る炎の中に投げ込まれ、灰になった。

私は泣き叫んだが、耳元には彼女の冷たい声が響いた。「やっぱりあんたは私の娘じゃない、あいつの娘だわ」

その日を境に、私の母は「母」ではなく「諸谷先生」になり、私は二度と数学の才能を表に出さないように心掛けた。

私は不安な気持ちで食卓に座り、自分がどれほど場違いな存在であるかを痛感した。

母は自然に野菜の前菜を私の前に置き、溺愛な表情を浮かべながらにエビを剥いてあげていた。

「努力家にはもっと食べてもらわないと」

「努力家」という言葉が鈍いナイフのようにゆっくりと私の心臓に刺さり、また引き抜かれていく感覚がした。

私は無表情で自分の前にある野菜を取り続けたが、どうしても羨ましそうに洋行の皿に積まれたエビに目を向けてしまった。

おそらく、その視線があまりにも熱っぽかったのだろう。

洋行は母が剥いてくれたエビを一つ私の皿に置いた。

しかし、それはすぐに母に取り上げられてしまった。

「彼女はバカだから栄養を摂る必要なんかないわ。それより洋行は最近頑張ってるんだから、もっと食べなさい」

私は俯いて、静かに自分の皿のご飯をかき込みながら、無言の涙が米粒の上に落ちていった。

口に入れるたびに感じるのは苦味だけで、まるで白いご飯に別の味が加わったようだった。

ケーキが開かれたその瞬間、私はようやく視線をケーキに向け、少しだけ希望を抱いた。

母がケーキを通して、今日が私の誕生日だと気付いてくれるかもしれない。

期待するほど失望が大きくなることはわかっていたが、私は小さな期待を持たずにはいられなかった。

しかし、次の瞬間、母は眉をひそめて言った。

「なんで誕生日ケーキ?今日は誕生日じゃないでしょ?本当に頭悪いね!」

もしかしたら、母は私がこの世に存在しない方が良かったと私以上に思っているのかもしれない。

「洋行の誕生日は確か、1か月後だよね。先生が早めにお祝いしてあげる。洋行、お誕生日おめでとう!」

耳元で聞こえる声はどんどん遠くなり、視界は逆に鮮明になっていった。

母はぎこちない手つきで洋行に誕生日の帽子をかぶせ、彼に願い事をさせようと急かしていた。

17という数字のロウソクがゆっくりと燃え続ける中、私は心の中で自分に「誕生日おめでとう」と呟いた。

母が私を少しでも愛してくれますようにと、私は願った。

洋行が目を開けて「一緒にロウソクを吹こう」と誘ってくれたが、私はそれを断った。

自分の願いが決して叶うことのないものだと分かっていたからだ。

手のひらほどの小さなケーキだったが、洋行は私にも分けようとした。

それを母はすぐに遮り、「このケーキは元々、洋行が1位を取ったお祝いのために買ったのよ。こんな小さなケーキを彼女に分けたら、洋行の分がなくなるでしょ?」と言った。

私は無理やり笑顔を作り、「食べてよ。私はケーキが好きじゃないから」と言った。

誰も知らない。母が「小さなケーキ」と言っていたそれは、ボランティア活動に手伝って、半年をかけてやっと手に入れた金で買ったものだった。

母は私のことを嫌っていたし、私の生活にもほとんど関心を持っていなかった。

母は食堂の食券代だけをくれたが、それ以外の小遣いは一切なかった。

しかも、渡されたのは教職員食堂の食券代。

教職員食堂と学生食堂の食券代は全く違っていて、教職員食堂の方がはるかに安かった。

母が毎食分として渡された金額では、学食で一番安いセットメニューですら買えなかった。

学食のおばさんは私を不憫に思ってくれて、いつも教職員食堂の値段で野菜を盛ってくれた。肉が中に挟んでいたことも時々あった。

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