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第59話

明日香は虚栄心が強く、面子を失ったため、私の言葉を聞いて顔が青くなったり赤くなったりし、拓海の前で見せるような優しくか弱い姿とは一変し、怒りで目に炎を宿して叫んだ。「美咲、あなたが奢ってくれないなら、拓海に言いつけるよ」

「誰に言いたいなら勝手に言えば?国連にでも言えばいいじゃない」

周りの人たちは私の言葉に聞いて、明日香の面子をまったく考慮せず、大笑いしていた。

ああ、みんな偽善的な友達だったんだな。

明日香は悔しそうに本当に電話を取り出して 拓海にかけた。すぐに拓海が電話に出て、彼女はスピーカーにしていたので、私たち全員が会話の内容を聞くことができた。

「拓海」明日香の声はいつも通り優しかったが、少しだけ不満そうだった。「学校に着いたわ、無事を報告するために」

「どうしたんだ、風邪でもひいたのか?声が少し枯れているみたいだ」

「何でもないの。ただね、友達が鍋を食べたいって言ってるんだけど、美咲が…」後半を言わずに、 明日香は困ったように私を見た。

またか!

私は携帯を奪い取り、直接話した。「拓海、あなたの彼女が友達全員に鍋を奢れって言うのよ。私はお金がないし、奢る気もない。以上。それで、あなたたちの話を続けて」

明日香は口を大きく開けて、完全に面食らった様子で、こんなに率直に彼女の偽善を暴露するとは思っていなかったようだった。

拓海は黙って何も言わなかった。周りで見ていた人たちはみんな面白がっていたが、明日香はまたもや顔が立たず、悲しそうに「拓海」と呼びかけた。

その日の最後の結末は、拓海が私に1万円を送金してきて、彼女を困らせないように頼んできた。「僕が金を出すから、彼女たちを連れて食べに行ってくれ。明日香の面子を保ってやってほしい」

私は彼に返事をしないつもりだったが、何も返さないと気が済まないので、さっと数文字を入力して送った。「時間がない」

拓海のその行動は、私の反抗心を大いに刺激した。

私はお金を返金して彼に送り返し、明日香に鍋店の場所を送った。そして、手を叩いてその場を去った。

その日、拓海は何度も電話をかけてきたが、私は全て無視した。

正直に言うと、私がこうしたのには少しばかりの私的な思惑もあった。結局、彼女はこれまでに何度も私に迷惑をかけてきたんだから。私は別に聖女ではないし、ちょっとした仕返しぐらいしてもいい
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