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第58話

会ったばかりで私を使おうなんて、夢見てるんじゃないわよ。

私はあんたの言うことを聞く良い彼氏じゃないんだからね。

「力がないから」私は明日香を見もしなかった。

あんなことをしたのに、迎えに来てやっただけでも私は十分に寛大だった。それなのに私を使おうなんて、絶対に無理だ。

彼女は私が無表情で車に乗り込んだのを見て、自分を後部座席に置いていかれたので、怒って足を踏み鳴らしていた。私は気づかないふりをして、彼女を無視した。結局、自分で荷物をタクシーのトランクに入れるしかなかった。

ただ学校間の交流のために来ただけで、一か月だけでしょ?なんでこんなに大きなスーツケースを三つも持ってくる必要があるの?

拓海がいないのに、そんなに派手な服装をして誰に見せるつもりなの?

後で知ったけど、どうやら私の考え過ぎだったらしく、実際に見ている人がいた。

「美咲、ここに一年以上も通っているのに、まだ自分の車を持っていないの?タクシーなんかに乗ってるなんて。タクシーは不潔で匂いも良くないわ」明日香はわざとらしく不満を言いながら、手で鼻の前を扇いでいた。その嫌悪感あふれる態度、まるでタクシーじゃなくて便座にでも座っているかのようだった。

あなたも一年以上大学に通っているのに、どうして少しの自覚もないの?自分がどれだけ人を苛立たせているのかもわからないの?

「乗りたくないなら降りなさい。誰も乗ってくれなんて頼んでいないわよ」私が良い性格があるけど、好き勝手にいじめられると思っているの?

「美咲、あんた私をいじめないで。。拓海にちゃんと面倒を見るって約束したじゃない。信じないなら電話して言うわよ」

私は手に持ったスマホを彼女の顔の近くまで突き出して言った。「拓海があんたの親なの?何でもかんでも彼に言わなきゃいけないの?今すぐ言えば?電池がないなら私のを貸してあげる」

運転手さんは私のように何も聞かない人も、明日香のようにイライラさせる人も見たことがなかったのか、思わず笑い出してしまった。

明日香は面子を失い、化粧が濃くてカラフルな顔がまるで恐ろしい調色板のようになり、恥ずかしさと怒りで、私を食い殺さんばかりに目をむき出していた。

私は彼女を無視して陽気に歌を口ずさみながら、彼女にこういう態度を取られても平然とやり過ごす姿を見せつけてやった。こうして彼女に、私が気に入ら
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