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第384話

現場、救出プロセスでは、記者がその場にいることは絶対にあり得ない!

それなのに、父がどうやって犯人の写真を撮ったのだろうか?

父は情報を得て、危険を顧みず現場周辺に潜入して撮影したのだろうか?

それは確かに父ならやりそうなことだ。あの食品添加物の事件の時も、父は工場に潜入して証拠を手に入れたのだから。

おそらく、父が隠し撮りをしている最中に見つかり、犯人たちに恨まれたのだろう。

父は既にニュース記事の執筆を進めていて、報道可能な段階に来ていた。つまり、人質が救出されたか、もしくは既に死亡していたかのどちらかだ。

父のノートには未完成の草稿があった。そこから誘拐事件が発生したのはその年の4月12日で、父の命日は4月18日だとわかった。

このことは一つの事実を示している。犯人はその場で逮捕されておらず、少なくとも父が亡くなった時点では逃亡していた。そうでなければ、トラック運転手の行動に何の意味もなかっただろう。

人質がどうなったのか、犯人が最終的に逮捕されたのか、由佳はその当時あまり気にしていなかった。

父の死とこの事件を関連づけて考えることは一度もなかった。

もし父が殺害された可能性を疑ったことがあったとしても、それは正義感に基づいた報道で誰かに恨まれた結果だと考えたに過ぎない。

由佳は深く息を吸い、数秒間冷静になった。そして、父のノートと写真を取り出して別の場所に置いた。

父の事件はすでに交通事故として片付けられており、トラック運転手は刑期を終えていた。単なる憶測だけで警察に再調査を依頼するのは難しいだろう。

この件は、自分で調べるしかない。

父の死は当時、社会に大きな影響を与え、世間の注目を浴びていた。そのため、警察は非常に慎重に捜査にあたったはずだが、トラック運転手と犯人の関係を見抜けなかった。つまり、犯人たちは非常に巧妙に隠れていた。

もしかしたら、彼らの背後には大きな組織が存在しているのかもしれない。

由佳は自分に水を注ぎ、二口飲んで気持ちを落ち着いた。そして、自分のノートパソコンを取り出して、検索エンジンを開いて、当時の誘拐事件に関する報道を探し始めた。

しかし、由佳がネットで当時の誘拐事件を検索したところ、何も見つからなかった!

検索結果には無関係な情報ばかりが表示された。

キーワードを変えてみても、無関係なページし
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