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第383話

以前、由佳は自分の荷物を豪邸に運び込み、すぐに少しの衣類を持ってノルウェーへ行った。彼女の他の荷物はまだ部屋に積まれたままで、片付けられていなかった。

ここに長く住むと決めたからには、由佳は真剣に荷物の整理を始めた。

すべての衣類や日用品が片付いた後、残ったのは父の遺品だけだった。

もうすぐ一年で最も重要な元旦がやってくる。また一年が過ぎ去った。

父が亡くなってから、もう一年になった。

父を轢き殺したトラックの運転手は今では刑務所を出て、快適な生活を送り、余裕で海外旅行までできるようになった。

だが、彼女の父は永遠に帰らなかった。

そのことを考えると、由佳の心は苦しくて仕方がなかった。

彼女は父のノートを開き、ゆっくりと1ページ1ページをめくった。ページの端は黄ばんでいて、そこには見慣れた字があった。彼女は何度もその字を撫でた。

ページをめくる時、一枚の写真がノートから落ちてきた。

それはかつての誘拐事件に関係があるかもしれない写真だった。

由佳は何気なく拾い上げ、一瞥してノートに挟んだ。

しかし、何かがふっと彼女の頭をよぎり、急いで写真を取り出し、じっくりと見始めた。

その写真の撮影角度は妙で、まるで柱の後ろから隠し撮りされたようだった。写真の手前には柱が一部を覆っていた。

写真には二人の人間が写っていて、一人は横顔しか見えず、もう一人は45度くらいの角度の横顔を見えた。

遠くから撮影されたため、顔の輪郭ははっきりとは見えないが、ぼんやりとその姿が分かった。

しかし、由佳はその45度の横顔を見覚えていた。どこかで見たことがあったのだ。

前回この写真を見たときには、こんな感覚はなかった。

一体どこで見たのだろう?

突然、彼女は思い出した!

青羽市の浦西空港で、あのトラック運転手のそばにいた年の近い男性を見かけた時のことを!

その時、彼女はその男性にどこか見覚えがあると感じたが、トラック運転手の親戚か何かだと思っていた。

今、由佳は目を閉じてその時の記憶を蘇らせた。たった一度の出会いだったが、空港で見たその顔と、写真に写っている半分の顔がぴたりと一致したのだ。

彼女の記憶はかつてないほど鮮明だった。

道理で空港で見た時、あの人に見覚えがあったはずだ。写真で既に見ていたのだから。

由佳は震えていた手で写真を握りしめ、全
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