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第14話

お金は十分に稼いだからりさに返した。

「本当に足を洗ったの?」

私は少し肉が欠けて、傷跡のある左腕を触った。

この教訓でまだ足りないのか。

「これを長く続けるつもりにしないで、他の道を考えてみなよ」

りさは私のアドバイスを軽視し、真っ赤な髪を振り乱した。

「もう戻れない。普通の仕事には慣れないし、家族を養わなきゃならない。私が働かないと、どうやってお金を稼ぐの?

私は元々長く生きるつもりがなかった。楽しむべきときは楽しむさ」

彼女の家庭が良くないことは分かっていた。家族全員が彼女に依存している。

私も無力感を感じて、何も手助けできなかった。

「話したいことがあったら、いつでも私を呼んで」

りさは快く頷いた。

「またしたくなったら、連絡して」

私は微笑んだが、その後は何も言わなかった。

写真スタジオで働きながら、母の面倒も見ていた。

1か月後、再びあの懐かしい姿を見た。

直樹が私を訪ねてきた。

「来月レースがあるから、一緒に来て」

久しぶりに会った直樹は、相変わらず命令口調だったが、私は首を振った。

「もうやらない。直樹さんは他の人を頼んでください」

直樹は不満そうに口角を上げ、私の腕を引っ張った。突然、私の傷に触れて、何かを理解したようだった。

「怖くなった?臆病になったの?」

私は淡々と微笑んだ。

「もう十分に稼いだから、普通の生活を送りたい」

「普通の生活?ははは」

直樹は醜い笑顔を浮かべ、私を嘲笑った。

「月に12万円で満足なの?

過去の汚れを洗い流せないのに、普通の人になれると思ってるの?素直に僕について来い。他の人に頼むことになったら困るから!」

彼が私を脅しているのを感じた。

「直樹、私はあなたと付き合ったし、あなたもお金をくれた。これでお互いに清算できるでしょ?今、しつこくしているのは、私に恋をしたから?」

直樹はお腹を抱えて笑った。

「僕が一人のコールガールに恋するわけないだろ?笑わせるな。お前はただの遊び道具だ」

私はテーブルの上にあった果物ナイフを掴み、自分の顔に向けた。

「じゃあ、私がブスになったら、放ってくれるの?」

直樹は目を細め、私が冗談を言っているわけではないと気づいたようだった。

「お前が顔を潰したら、放ってやる」

彼の口元には薄ら笑みが浮かんでいて、不気味で恐ろ
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