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第9話

著者: 山田千恵
last update 最終更新日: 2024-10-30 18:27:02
直樹は私に二百万円をくれただけでなく、高価なバッグもプレゼントしてくれた。

しかし私はそのバッグを中古店で売ってしまった。今の私の立場ではそんな高級品を持つことができないから。

計算すると、りさにまだ150万円の借金が残っている。

突然、もうコールガールを続けたくなくなった。直樹から名分をもらっていないけれど、心の中では私は彼の女だと感じていた。

彼には佐々木グループの社長令嬢、佐々木安美という婚約者がいる。彼女は高学歴で美しい女性だ。

でも、富裕層の結婚は多くが政治的な理由からだとよく聞く。

もしかしたら、直樹は彼女のことが好きではないのかもしれない。

もしかしたら、直樹は私のような人を好んでくれるかもしれない。

そう自分に言い聞かせて、私はもうコールガールを辞めることに決めた。

残りの150万円は、アルバイトをして少しずつ返済すればいい。

りさがまた富豪たちに会うように言ってきたが、私はすべて断った。

「頭がおかしくなったのか?直樹と一週間過ごして、彼のために自分を守るつもりなの?彼はあなたを何だと思ってるの?

こんな富豪たちに心を動かされてはいけない、損をするのはあなたよ!

今必要なのはお金で、恋愛じゃないこと、わかってる?」

返す言葉が見つからなかったけど、その瞬間、直樹のことで頭がいっぱいになってしまった。

母の体調が少し良くなり、医者から退院できると言われた。

母は負けず嫌いな性格だ。

「小羽、すべてをお母さんのためだけに考えないで、自分のためにも考えてね。無理しないで。お母さんは元気になるから、心配しなくていいよ」

弟も私を心配してくれた。

「姉ちゃん、僕はもう12歳だよ。僕もお母さんの面倒を見ることができる」

私は母を抱きしめた。もとも55キロあった母は、今では40キロを切ってしまった。

彼女は細くなったけれど、それでも懸命に生きている。

弟もいつも理解があり、家族が揃っていれば何も怖くないと感じた。

自分自身を成長させるために努力しなければならないと思い、やるべきでないことはできるだけ避けることにした。

私は婚礼写真スタジオでモデルの仕事を見つけて、やはり自分の本業に戻ることができた。

さらに、写真の編集もできるので、表でも裏でも活躍でき、生活は安定してきた。

直樹の電話番号は知っているが、連
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