藤原りさに誘われて、豪華なクルーズ船に乗り込んだ。初めての仕事で、ここで中村直樹という人物にも初対面した。「この男たち、みんなお金持ちの二世や三世で、海釣りが趣味なんだって。隣にいる女の子たちは遊び相手ばかりで、本命の彼女じゃないからね」私はうなずきつつも、ビキニ姿に少し居心地の悪さを感じていた。ショールを羽織ってはいるけれど、今までウェディングドレスのモデルくらいしか経験がなく、こんな露出の多い格好は初めてだった。みんなシャンパン片手に音楽を楽しみ、船は沖へどんどん進んでいった。「これって、公海に出てるんじゃない?」私は少し不安になって聞くと、「そう、公海よ。あとでゲームが始まるから、無理しないでね!」と答えられた。目的地に着くと、誰かが釣り道具を取り出し、スタッフ二人がキラキラの衣装を運んできた。「最初は人魚ゲーム。参加は自由、最初に釣り上げられた人には賞金百万円!」百万円と聞いた瞬間、私は目を輝かせて思わず手を挙げた。「私、やります!」りさは私を恨めしそうに一瞥した。「このお金は簡単には稼げないよ。ベッドに寝ているよりもずっと難しい」「死ぬことはないよね?」「普通は死なないけど……」「死ななければ大丈夫だね」私はスタッフの指示に従い、特別な尾鰭の衣装を着た。それを着ると、ほんとうの人魚のようになった。現場には5人の女の子が自ら参加していて、りさは私たちと争うのが面倒で、昔の知り合いと酒を飲んでいた。私たちは次々に海に飛び込んだ。数人の富豪の若者たちが釣り竿を下ろしていた。釣り針には餌がなく、ただ光る鋭いトゲだけがついていた。ある女の子が近くの釣り針に素早く泳ぎ寄り、手を伸ばそうとした。しかし隣にいた女の子が彼女を引き止め、水中で強引に引きずり下ろした。「最初に釣られようなんて、無理だよ!」富豪たちは水中での彼女たちの争いを興味津々で見て、みんな笑い転げていた。私は気づいた。私たちは魚で、彼らは私たちを釣ろうとしている。その釣り針は、自分で引っ掛かりに行くものだった。魚尾のドレスを触ってみたが、釣り針を引っ掛ける部分はなかった。別の女の子が一つの釣り針に近づき、左手で釣り針を握った。すると、そのトゲが手のひらに刺さり、血が流れた。「なるほど!
最終更新日 : 2024-10-30 続きを読む