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第2話

この百万円は本当に稼ぎにくい。参加している女の子たちは、何かしらの理由でお金が必要なようだ。

突然、何かが私の頭に当たった。

見上げると、サングラスをかけた男の人がいた。りさに紹介された彼の名前は中村直樹で、みんなから「直樹」と呼ばれている。

「どうした?ぼーっとしてて」

彼の釣り竿が近くにあったので、心の中で計画を立てた。

怪我をした女の子が水面に浮かび上がり、顔が青ざめていた。

彼女は退場することを選び、船に上がって傷の手当てをしに行った。

残りの3人の女の子がこうたの釣り針を奪い合っていて、どうやらこうたがここで一番の金持ちのようだ。

3人は互いにぶつかり合い、水しぶきが飛び散っている。

私は彼女たちから少し離れ、直樹の釣り竿に近づいていった。

私は心の中で計算した。彼女たちはすでに体力が落ちているし、もし私を止めに泳いできても、おそらく間に合わないだろう。

私は両手で釣り針をしっかり握り、力強く引っ張った。

直樹は冷ややかに笑いながら、満足げに私を見ていた。彼が釣り竿を引き上げると、私は徐々に水面へと浮かび上がった。

「おっと、直樹が一番乗りだな」

みんなの視線が一斉に私に集まった。

こうたは苛立ち、3人の女の子に向かって怒鳴った。

「お前ら、何してる! 早く止めろ!」

2人の女の子はその声を聞くとすぐに喧嘩をやめて、急いで私の方へ泳いできた。

しかし、その間に3人目の女の子はこうたの釣り針を掴んだ。

2本の釣り竿が同時に動き出し、勝負は速さの競い合いになった。

直樹はこうたに対抗するかのように、絶対に譲らない構えだった。

私の両手は釣り針の返しで刺され、血が滲んでいたけど、痛みに耐えるしかなかった。

百万円のために、何としても!

直樹はさらに勢いを増し、私はそのまま船の上に引き上げられ、甲板に倒れ込んだ。

りさが急いで駆け寄り、傷口を消毒してくれた。

「直樹、おめでとう!」と周りが口々に声をかけた。

「どうも、こうた」

こうたは険しい顔で私を睨んでいた。

りさは震えていたけど、私は痛みでそれを気にする余裕がなかった。

でも、百万円を手に入れたんだ!

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