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第3話

次のゲームには私は参加できなかった。金持ちの男たちと美女たちが「ピラニアチャレンジ」に興じている。

スタッフが大きなガラス水槽を運び込み、その中にはピラニアが泳いでいた。

参加者は手袋をつけて手を水槽に入れ、誰が一番長く耐えられるかで賞金を獲得するルールだ。

私は、もう一人の手を怪我した美女と一緒に、ただ休むしかなかった。

すると、直樹が私の前に立ち、冷たく見下ろして言った。

「初めてか?」

私は静かに頷いた。

「なんで僕の釣り竿を掴んだんだ?他のじゃなくて」

「ただ、他の女たちとの距離を考えたんだ。直樹さんの釣り竿が一番遠かったから、その間に少しでも時間を稼げると思ったの」

実はそれだけじゃなく、周りの人たちがこうたに媚びているのを見ていたから、適当に釣り竿を掴んでも、誰も私をすぐに引き上げる勇気がないだろうと思った。結局、負けるのは間違いなかった。

直樹だけは、最初からこうたに気を使っていなかった。多分、金持ちの中にも派閥があるのだろう。

直樹は私の話を受け入れてくれたのか、私の体をじろじろと見つめていた。

「いいね、頭も使えるじゃないか。今夜、僕と一緒に行かない?」

「今夜、まだ何か予定があるの?」

「何も知らずに来たのか?」

私は戸惑いながら首を振った。

「おバカだな!」

直樹が私の耳元で囁いた。

私の顔はすぐに赤くなった。

一晩付き合えば、特別報酬がもらえる。

せっかく船に乗ったんだから、断る理由はなかった。

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