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第10話

私はしっかりと体を洗い、自分の服を着て外に出た。

もう深夜で、周りには呻き声や楽しげな笑い声が溢れていた。

これが富豪たちの楽園なんだ。

私は本当に馴染めなかった。

星砂地方の太った男からもらった金のインゴットを手に、元の部屋に戻った。

りさの言葉が思い出され、それは本当に目から鱗だった。

愛はあてにならないけれど、お金は確実だ。

直樹がついに帰ってきた。

「帰りたい」

私は彼に本音をぶつけた。

「どうした?お金が稼げなかったのか?」

「十分稼いだ」

私は麻痺したように答えた。

直樹は私の様子に気づき、近づいて首をつかんできた。

呼吸ができなくなって苦しく、私は彼の手を叩いたが、力が強かった。

「僕の言うことを無視してるのか?そんなに偉くなったのか?」

私の顔は真っ赤になり、死にそうな気がした。

直樹は私を放し、私は激しく咳き込んだ。

「イベントは5日間、まだ1日しか経ってない。勝手に帰るな。明日はもっと稼げるチャンスがあるぞ」

彼は私の頬を軽く叩いた。

「恥をかかせるな!」

彼がこんなに早く態度を変えるとは思わなかった。前の優しさはすべて演技で、私がただの新しい存在だっただけだ。

今私が少しでも彼の気に入らないことをすると、すぐに怒りを露わにする。

私は胸を押さえ、深い自己嫌悪に陥った。
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