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第19話  

佐藤舟也は、手術の甲斐なく死亡した。

彼が亡くなる前、佐藤瑠音が主導して、彼の角膜を私に返してくれた。

佐藤父と佐藤母は強く反対したが、佐藤瑠音は冷然と告げた。

「お父さん、お母さん、今更誰を頼るつもり?」

佐藤父は唇を震わせ、しばらく言葉を失った。

最後に、彼はICUの佐藤舟也を一瞥し、手を振ってため息をついた。

「もういい。好きにしろ。俺ももう歳だ。引退して、のんびり生きるさ」

手術が終わって間もなく、佐藤舟也は亡くなった。

彼の葬儀は、両親によって簡素に行われた。

その日、私は病院のベッドに横たわり、姉が尋ねた。

「行く気はある?」

「結婚式のあれ以来、佐藤家は大きな打撃を受けたらしいよ。会社もほぼ全面的に再編されて、今は佐藤瑠音の息がかかってる。

今日は佐藤舟也の葬儀だって。来る人は少ないみたい……人って去れば茶が冷めるって、まさにこのことだよね」

私はベッドに横たわり、手を振って応えた。心に波立つものはない。

「私は行かないよ」

「元カノだし、正直、元カレが早く死ぬことを望んでたくらいだし」

姉は笑いをこらえきれなかった。

「分かった!じゃあ、目が治ったら会社に戻ってね。今度は逃げないでよ」

私は恋愛にのめり込みやすいタイプかもしれないけど、仕事の能力は認められてる。

もし佐藤舟也のためじゃなかったら、きっともっと早く、彼以上に成功していたはず。

「うん」

私は頷いた。

ようやく、私は光を取り戻した。

視力は以前ほど良くはないけど、もう盲目の愚かな女ではない。

失ったものを、ついに取り戻したんだ。

包帯が外され、長い間暗闇にいた私の目に、再び光が差し込んだ。

両親は私を抱きしめ、涙を流しながら言った。

「戻ってきてくれて本当に良かった」

姉も涙声で言った。

「バカ!もっと早く言えばよかったのに……」

私は微笑んだ。すべてが終わったことに感謝してやまない。

顔を上げて窓の外を見ると、一筋の陽光が差し込んでいた。

金色の輝きが、窓辺で静かにきらめいていた。

その光が、私の目に飛び込んできた。

 
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