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第6話  

彼は音声メッセージではなく、文字で送ってきた。

まるで私が何も見えないことを忘れたかのように。

私は電車の中で見知らぬ人にお願いして、それを読んでもらった。

「いい加減にしろ、ここまで一緒にやってきたのに、そんなことでどうするんだ?」

「もうすぐ結婚式だろう。騒ぎたいなら、式が終わってからにしてくれ」

私は返信しなかった。彼はまた苛立っているようで、感嘆符がいくつも続いていた。

「親戚や友人が大勢来るんだ。お前、本気で俺の顔を潰すつもりか?!」

私は思わず鼻で笑ってしまった。

佐藤舟也は、私が「別れる」と言ったことを全く本気にしていなかったのだ。

まるで、私が彼を絶対に離れないと信じているかのようだった。

まあ、盲目の私が、彼なしでどうやって生きていくのかって思っていたんだろう。

私は「ありがとう」と言いながら、手探りでメッセージを打った。

【行くよ】

彼の得意げな表情が目に浮かぶようだっだ。

きっと、またこの盲目の女が簡単に騙されたと思っているに違いない。

 
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