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第12話  

二日後、佐藤舟也から特別に送られた結婚式の招待状が届いた。

招待状の新郎は依然として彼だったが、新婦は田中彩香に変わっていた。

さらに彼から歪んだ満足感を含んだ音声メッセージが届いた。

「野村絹子、俺はお前じゃなければダメってわけじゃない。

俺が望めば、たくさんの女が俺と結婚したがるんだよ」

姉がドアを開けて入ってきて、顔色がとても悪かった。

「あの田中彩香、小賢しい女が、絹子が先に浮気したって言いふらしてるわよ!」

彼女は深く息を吸い込み、私に謝った。

「あの日、あの映像を佐藤舟也に見せるべきじゃなかった。

このクズ男とクズ女、どうにかしてその映像を手に入れて、今度は逆に君が外で男と関係を持って佐藤舟也を裏切ったと言っている。それで婚約が破棄されたってさ……」

姉はテーブルの上の物を全て払い落とし、怒りに震えていた。

「今じゃ、佐藤家の父も母もみんな佐藤舟也の味方よ、まるで絹子が悪いかのように思ってるわ!」

私はスマホを手に取りながら、冷静に言った。

「もし私の推測が正しければ、みんなが言っているのは、あの佐藤舟也の事故も私のせいだと、そうでしょう?」

「なんで分かるの……」

姉は驚いて言葉を失った。

「私もその噂がどこから出てきたのか分からないけど、確かにこういう噂が出てきたわ……」

姉は苦々しい表情で続けた。

「最近、私たちは佐藤家との取引をいくつもキャンセルしたけど、その結果、彼らの計画をかなり乱したわ。結婚式の件でも彼らはたくさんの契約を失った。でもこういう噂が広まってから……」

私は突然尋ねた。

「佐藤瑠音の連絡先を知ってる?」

姉は驚きながら言った。

「佐藤瑠音に何の用があるの?

佐藤家があの大きな家業を佐藤舟也に譲ってから、彼女は世界中を旅行していて、もう家のことに関わっていないわよ」

「知ってる」私は言った。

「当時、もし私が佐藤舟也を助けなかったら、きっと今の佐藤社長は彼女だ」
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