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第17話

慎一ははっきりと私に言い放った。「離婚したいなら、まずは借金を返してくれ。それが筋だ」

これで私は、なぜ母が慎一との離婚を受け入れられないのかを理解した。この4年間で、私は知らぬ間に霍田家に「売られて」ことに気づいたのだ。

誠和法律事務所に戻る道すがら、足元はふらつき、頭は朦朧としていた。

受付の女性も驚いて私を見ていたし、夜之介も同じだった。

私は努めて平然と夜之介に微笑みかけた。「すみません、やっぱりもう一度挑戦してみたいです」

言い換えれば、訴訟でお金を稼ぐのは時間がかかりすぎるし、私にはそのための準備期間もない。非訴の仕事の方が収入が安定している。

「どうしたんだ?」夜之介は私の顔色が良くないのを察し、優しく気遣ってくれた。「安井さんが新卒なら、僕は君を大歓迎しただろうね。君の履歴書は見事だし、そこに書かれた案件はどれも一流だ」

彼は金縁のメガネを軽く直しながら、私に視線を向けた。「ただ、君には4年の空白期間がある……」

彼は一瞬言葉を切った。「経験がないのは厳しい。僕たちの業界では経験がすべてだから、どれだけ成績が良くてもそれは机上の空論に過ぎず、誰も納得しない」

私は静かに頷いた。

夜之介は誠和法律事務所が設立されてからの輝かしい実績について語り続けた。彼らが求めているのは、経験豊富な弁護士だと察した。もしこのまま彼の話を聞き続けたら、私は確実にチャンスを逃してしまうだろう。

夜之介が誠和法律事務所が手掛けた最も成功したM&A案件について話し始めたとき、私はすかさず言葉を引き取った。「それは偶然ですね。私と貴所はとても相性が良いはずです。私の強みを活かして、お客様に充実した法的サービスを提供できると信じています」

夜之介は私の自信に興味を示し、なぜそんなに自信があるのかと尋ねた。私は、この数年間の空白期間こそが私の強みであることを説明した。

慎一の人脈を活かして、私は多くのビジネス界の大物や政治家と接触できた。私は彼に資本市場や株式投資、資産の証券化について話し、それにおいて弁護士が果たす役割についても議論した。最後に、誠和のような大手法律事務所なら、きっとこの分野で多くの案件を抱えているのではないかと、少し彼を持ち上げてみせた。

私は夜之介の表情を観察し続け、彼が満足そう
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