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第15話

母はまた猛スピードで車を走らせた。

泣きながら独り言をつぶやく。「あなたが死んでいないことは分かってた。私たちの結奈は本当に良い子だから、神様だってあなたを取っちゃいけない……」

私は言葉を失った。

まるで私が悪い人で、神様が早く死ぬようにしたかのようだ。

母はドアを蹴破るように開け、住所にある家に慌てて駆け込んだ。

結奈は手錠をかけられ、椅子に座っていた。

周囲には五六人の警察官がいた。

母はそのまま駆け寄り、結奈を抱きしめて泣いた。

「結奈、あなたはたくさん苦労したね。でも、悲しまないで、ママが連れて帰るから……」

山下が彼女を引き離した。「しっかりしろ!」

母は一瞬呆然として、結奈の手錠に気づき、すぐにそれを引き剥がそうとした。

山下は彼女の狂気じみた行動を見て、深くため息をついた。

「晴奈、お前は彼女を連れて帰れない」

「彼女は人を殺した」

母は信じられないといった表情で目を見開いた。「何を言ってるの?殺人犯は莉奈だよ、お前たちは間違ってる!」

山下は疲れた声で言った。「莉奈はすでに死んでいて、結奈に殺されたんだ」

母は長い間呆然としていたが、やがて遅れて山下を見た。

「電話を切ったときに言いかけていたことだけど、結奈のDNAはデータベースに登録されている結奈のものとは異なることが確認された。ただし、95%以上の一致率があった」

「そして、莉奈のDNAとも比較したが、同じ結果だった」

「つまり、犯人は本当の結奈でも、莉奈でもない」

「お前たちの家で、八年前に優子という人が亡くなったことがあるよね?」
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