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第9話

山下警部の声は厳しかった。「すぐに監視カメラを確認する!」

私は少し疑問に思った。結奈が行方不明になってすぐに警察が調査を始めたのはなぜだろう?

母はおそらく彼の協力的な態度に驚いたのか、安堵の息をついた。「すぐに駆けつけます!」

母は風のように速く、警署に到着すると、山下警部はちょうど監視カメラの映像を見つけ出していた。

結奈は母の車を運転し、川辺の橋まで走り、そのまま迷わず飛び込んでいった。

その光景を見て、母の頭がぐらぐらと揺れ、テーブルに支えを求めて倒れ込んだ。

彼女の目には深い絶望が浮かんでいた。

山下警部は少し興奮した様子で言った。「彼女はおそらく罪を恐れて逃げたんだ!今日、彼女に明日ここに来るように連絡したから、すぐに逃げ出したんだ!」

母は雷に打たれたように呆然とした。

声が震えながら、「何を言ってるの!結奈が川に飛び込んだのを見なかったの!」

山下警部は自分の失言に気づき、口調を和らげた。「すまない、忘れてたけど、昨日、廃れた遊園地周辺の監視カメラを調べたところ、結奈が事件当日にその付近にいたことを確認した。彼女には大きな疑いがあるんだ!」

「私ははっきりと言ったよね、その日は家で勉強していたはずだ!」

母の顔は青ざめており、彼の主張は耳に入らなかった。

ドアを押し開け、よろめきながら外へ走り出そうとした。階段で転んでしまったが、山下警部と議論する時間はなかった。今はただ結奈を救いたいだけだった。

彼女は制限速度を大幅に超えて、結奈が飛び込んだ場所へ向かった。

結奈を捜索するために追いかけてきた警察車も、彼女の後ろを走っていた。
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