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第13話

見えない手が私の神経を締め付けた。

もうすぐ、母は私が非業の死を遂げたことを知るだろう。

母の目から大粒の涙が流れ落ちた。「話しな!結奈が死んでいようと生きていようと、私は耐えられる!」

「血液型の照合結果が出た。死者は莉奈だ」

「莉奈?」母は一瞬呆然としてから、怒りに震えて笑い出した。「今更冗談を言うつもりなのか?」

「莉奈が死んでるかどうか、私が知らないわけないでしょ?私が聞いているのは結奈のことだ!」

私は苦しく笑い、心が冷えた。

こんな時まで、彼女は信じない。まるで結奈に洗脳されたかのようだ。

だが、真実は小さな突破口さえあれば明らかになる。

結奈が私を殺害した犯人だと知れば、母はもう彼女の言葉に惑わされることはないだろう。

山下がため息をついた。「結奈にも消息がある。包丁のDNAはデータベースと照合したが、結奈のものではないことが確認された……」
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