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第10話

二日間、結奈の遺体は見つからなかった。

彼女はまるで空から消えたかのようだった。

母は川辺で二日間泣き続けた。

目元は青ざめ、目は腫れて胡桃のようになり、かつての落ち着き払った姿はどこにも見当たらなかった。

言葉にできない苦しさが、私の心の中で渦を巻いた。

最愛の娘を失った彼女は、とても悲しそうだった。

私は彼女が毎日警察の襟をつかんで質問したり、神に娘を返してと願ったりする姿を見ていた。

二日が経ったが、彼女はまだ希望を捨てていなかった。

山下警部が車から降りてきた。彼の目元にも大きなクマが見えたが、目は生き生きとしていた。「良いニュースがある!」

近くの警察官がすぐに駆け寄った。

母の目にも希望の光が宿り、彼女は走り寄っていった。「結奈の消息か?」

山下警部は首を横に振って、ポケットから携帯電話を取り出した。

私の心がまた狂ったように鼓動した。

その携帯電話は私のものだった!

「莉奈の携帯電話の位置を特定した。同じ場所で、犯行に使用されたと思われるナイフも見つかった。ナイフには血痕と犯人のDNAが残っていた」

母の目から希望の光が消えた。

「それが良いニュースなのか?彼女が殺人犯だって何度も言ってるのに、私は結奈の消息を聞いているんだ!」

山下警部は眉をひそめた。「莉奈の携帯電話を調べたところ、あなたに送られたメッセージは予約送信されていたことが分かった」

彼は一瞬言葉を切って、何かを示唆するように言った。「犯人が彼女の携帯電話を使って誤認を誘うためにメッセージを送った可能性がある。その時間帯に、彼女に何か起こった可能性が高い」

「メッセージを送った日に結奈は家にいたって言ってるけど、我々が確認した監視カメラの映像はその前日のものだ。前日も結奈は家にいたのか?」
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