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第8話

山下警部は一瞬沈黙した後、「明日、事情聴取に来てください」

母は突然反応し、「あなたたちは結奈を無理やり疑ってるの?本当に頭がおかしいわ。結奈は素直で良い子なのに、私を怒らせるために嘘をつくなよ!」

電話を切った。

怒りが収まった2分後、母は記事のコメント欄を開いた。

皆が私を罵倒しているのを見て、表情が緩んだ。

口角が上がり、さらには小曲を口ずさんだ。

道端でヒマワリの花束を買った。

家に帰ってドアを開け、「結奈、ママ帰ったよ。ママが何か持って来たよ」と声をかけた。

結奈が駆け寄ってくるはずだったが、返事はなかった。

母は花を持って、結奈の部屋へ走った。

家全体を探したが、結奈の姿はどこにもなかった。

母の顔に明らかな不安が浮かんだ。

再び玄関を出て、近所の人たちに結奈が外出したかどうか聞いた。

近所の人は、「さっき、結奈が出て行ったのを見たよ。車のキーも持っていたよ」と答えた。

母は焦って車庫に駆けつけたが、別の車がなくなっていた。

私は彼女の心配そうな様子を見て、心が締め付けられた。

自分が消えたときは、彼女は一度も心配したことがなかった。

手が震え、何度も試みた末にようやく山下警部に電話をかけた。

「結奈が行方不明だ!」
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