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第6話

母は結奈を連れて警察署に向かった。

山下警部は母の携帯電話を見て、ため息をついた。

「莉奈さんはまだ疑いの段階だ。この写真だけで彼女が犯人だとは断定できない」

母は激しい表情になった。「私は彼女が犯人だって言ってるんです!誰よりも彼女のことを見てきたわ、彼女は狂った殺人者よ!」

山下警部は母をなだめ、少し落ち着かせた後で質問した。「彼女があなたと一緒に乗る観覧車の写真を送ってきた意味は?」

母は冷笑した。「先週、私は結奈を遊園地に連れて行った。それをインスタに載せたら、彼女が見たのかもしれないわ」

「結奈が羨ましくて、私への復讐のために人を殺したんだ!」

私の鼻がつまった。

確かに、私は嫉妬していた。

母のインスタには、結奈の日常が細かく記録されていて、私の存在は全く触れられていなかった。

私は自虐的に何度も彼女たちの笑顔を見返し、いつか自分がそこにいる日を夢見ていた。

山下警部は結奈がドアのところで衣装の端をつかんでいることに気づき、考え深げな目で彼女を見た。

結奈はその視線を感じ、少し不安げに頭を下げ、目が慌てたように光った。

母はそのことに気づかず、話を戻した。「今日中に彼女を逮捕して!彼女が外にいる限り、結奈が危険だわ。すぐにニュースを流すから、絶対に逃がさないで」

山下警部は眉を寄せた。「まだ調査が終わっていないし、彼女が犯人かどうかははっきりしていない。落ち着いて待って、警察から連絡があるまで待ってください」

「連絡?」母は怒りに満ちた目で山下警部を見据えた。「また引き延ばすつもりなの?私は彼女が殺人犯だって言ってるのに!犯人を捕まえようとせずに、莉奈の味方なの?警察のくせに、ほんとうに正義の味方だね!」

母は皮肉を言った後、結奈の手を引っ張って立ち上がり、「いいわ、あなたたちが殺人犯を助けるなら、私は自分でやる!」と強く言った。

その言葉は全く容赦のないものだった。

山下警部は母の怒りに満ちた背中を見送り、しばらく考え込んだ後で言った。

「そのメッセージ……莉奈の携帯電話の位置情報を調べて」

私は山下警部の話を聞きたいと思っていたが、霊体は母から離れられず、車に戻されるしかなかった。

母はかなり怒っていて、車の中で大きく息をついていた。

結奈は母の背中をさすりながら、優しく言った。「ママ、怒らないで」

結奈
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