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第84話 この2年間、彼女は何をしていたんだ

椿はリビングを見回し、ここが2年前と何も変わっていないように感じたのは、ただの錯覚だろうか。

彼は小林さんに目を向け、尋ねた。

「この2年間、屋敷は改装されなかったのか?」

「いいえ、一度もありませんでした」

小林さんは答え、さらに続けた。

「以前、旦那様が電話で言っておりました。若……」

小林さんは一瞬言葉を詰まらせ、椿と奈央がすでに離婚していることを思い出して、言い直した。

「旦那様は、霧島さんに好きなように改装させてもいいとおっしゃいましたが、霧島さんは何もしませんでした」

椿の表情がわずかに暗くなった。彼はその理由を理解していた。

奈央は彼と同じように、この結婚に心から納得していなかった。最初から長続きさせるつもりはなく、だからこそ時間をかけて改装することなど考えもしなかったのだ。

「この2年間、彼女は何をしていたんだ?」

彼は急に奈央の過去に興味を持ち始めた。

小林さんは少し驚きながらも、若旦那がなぜ離婚した後に奈央のことを尋ねるのか理解できず、しかし敢えて質問することもできず、正直に答えた。

「霧島さんの日常はとてもシンプルでした。普段は家で花を育てたり、本を読んだり、たまに街へ出かけたりしていましたが、それ以外は特に何もしていませんでした」

彼女は以前、奈央に椿を積極的に椿に会いに行くべきだと助言したことがあった。夫婦なのにずっと顔を合わせないわけにはいかないと。

だが、その時奈央はただ笑って、「なんで私が彼に会いにいかなきゃいけないの?今がちょうどいいのよ、自由で」と言っただけだった。

それだけなのか?

椿は驚きを隠せなかった。彼の目には、奈央はそんなに家にじっとしていられる性格には見えなかったのだ。

「彼女はいつも家にいたのか?」

椿はさらに尋ねた。

「はい、毎日家にいました。たまに遅くまで買い物に出かけても、必ず屋敷に戻ってきました。一度も外で夜を過ごしたことはありませんでしたよ」

小林さんは答えた。彼女は良い妻だと思っていた。

椿はしばし黙り込んだ。信じられない気持ちだった。

彼は奈央のような性格なら、いつも外で忙しくしているはずだと思っていたのに、なぜ毎日帰ってきていたのだろうか?

それ以上は何も聞かず、彼は上階の部屋を指さしながら言った。

「彼女はどの部屋に住んでいた?」

「2階の右手の最
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