共有

第88章 皐月の実家の系列のお店?

二人は一緒に病院を出た。皐月が車を出してくるまで、奈央は道端で彼女を待っていた。

暫くして、黒白のファラリーが奈央の前まで走ってきた。奈央が薄々自分の助手がそこそこの金持ちだった時ついたのはその時だった。

車に乗り込んできた奈央は、思わず笑って言った。

「金に困っている様子でもないのに、どうして医者になることを選んだんだ?この業界は甘くないって分かっているでしょう」

「金に困ってないこそ、もっとやりがいのあることをすることにしたの」

皐月は笑顔で答えた。当初、家の人に問われたとにも、彼女はそう答えたんだ。

奈央は笑うことなく、彼女の言うことには一理あるという表情に変わった。

あっという間に、車は泉ヶ原でのもっともお洒落なショッピングモールの駐車場に止まった。二人が車を降りた後、皐月は自然に奈央の腕を組んだ。

「Dr.霧島、まずは食事をとりましょうか」

「うん、そうしよう」

奈央は頷いた後、自分の呼ばわれ方について言った。

「霧島奈央だ、私の名前は。病院の外では、気軽に霧島と呼んで」

皐月は嬉しさのあまり、つい手で口元を隠した。「やっと名前を教えてくれました!これで友達ってことでいいですよね?」

「そっちが聞いてこななかっただけでしょう?」

奈央は名を知られることをなんでもないと思っていた。聞いてこなかったから、彼女も自分から教えずに、黙っておいただけだった。

皐月は頭を掻いて、にっこり笑って答えた。

「色々気にしてなかなか聞けなかったんです」

自分が奈央の助手だと言っても、ずっと距離を置かれた気がして、下手にして聞いたら、逆に嫌われることを恐れていたから、聞かないことにした。

「私のことが怖いか」

奈央は自分が物やわらではなかったのをちゃんと分かっていたつもりが、人をそこまで怯えさせていたほどでもなかっただろう。

皐月は頷いた後すぐ頭を振った。

「いいえ、私が怖がり屋だけです」

奈央は笑って、このことを水に流して、皐月に言った。

「何が食べたいか」

「粥のあじにしましょう。この店はすっごくうまいから、霧島さんにもぜひ」

皐月は奈央の言われたままに呼び捨てすることなく、さんつけすることで、二人の距離を縮むことに成功した。

奈央は皐月の提案に頷いた。この間あの店で食べてきたばかりだと言っても、味的には確かに文句をつけよ
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status