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第69話 期待外れになりそうだ

三人を倒した後、奈央はその中の一人の顔を踏みつけながら、ようやく椿と堯之の二人に振り返って言った。

「だから最初から助けはいらないって言ったのに」

椿と堯之「……」

二人の心の中には同じ言葉が浮かんでいた。凶暴だ。

そう、凶暴だ。

これまでの人生で、これほど戦いに強い女性を見たことがなかった。

奈央は彼らを気にも留めず、足元の男に視線を向け、「雇い主に電話をかけて」と命じた。

男は動かなかった。義理堅い態度を示していた。

しかし、奈央は冷笑し、いつの間にか手に刃を取り出し、ためらうことなく相手の腕に傷をつけた。

「あぁ!」

相手は痛みで叫んだ。

「電話をかけろ」

奈央は身を屈め、まるで悪魔のように言った。

「次はどこにくるか、当ててみるか?」

「か、かけます、かけます!」

リーダーは必死にうなずき、痛みで息も絶え絶えだった。

奈央は満足げにうなずいた。この三人はプロの誘拐犯ではないし、雇い主を売ることに驚きはない。

電話がかかり、数回の呼び出し音の後、声が聞こえた。

「うまくやった?動画を送って」

女性の声が響き、緊張の中に少しばかりの喜びが混じっていた。

誰も彼女の言葉に答えなかった。奈央もすぐには答えず、代わりに椿の方を見て、口元に微笑を浮かべた。

椿は電話の向こうから聞こえてくる声に、顔色が目に見えて悪くなり、奈央の視線をまともに見ることさえできなかった。

電話の向こうの人物は返事を待たず、苛立った声を上げた。

「ちゃんとやったの?金を取っておいて、もしやらなかったら、ただでは済ませないからね」

奈央は地面に落ちていた携帯を拾い上げ、にこやかに言った。

「残念だったな、関谷さん」

風が吹き抜け、倉庫内はゴウゴウと音を立て、電話の向こうは異様なほど静かだった。

「関谷さん?人違いよ」

相手は焦りながら言い訳を探し始め、今さらながら声を変えようとした。

だが、それは火に油を注ぐようなものだった。

電話が切れたが、奈央は気に留めなかった。すでに黒幕が誰かを突き止めていたからだ。

奈央は手を払って、リーダーを一蹴して気絶させた後、椿に向き直った。

「この三人は宇野さんに任せます。どうすべきか分かっているでしょうから。

「それと、金を取り返すのを忘れないで。無駄に宇野さんに借りを作りたくないので」

何し
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