共有

第68話 彼らがどうしてここに

瞬く間に、奈央の目が冷たく光り、彼女は近づいてくる二男を見つめながら、手に握った刃をしっかりと握り締めていた。男が近づいた瞬間、一撃で仕留めるつもりだった。

そんな時、入口で見張りをしていた三番目が突然叫んだ。

「兄貴、車が来たぞ!」

その声が響くと同時に、倉庫内にいた長男と二男は反応する間もなく、赤いスポーツカーが直進してきた。そして、その後に続いて黒いファントムが倉庫に突っ込んできた。

堯之と椿が車から降り立ち、二人とも冷たい目つきで三人を見回し、その視線はまるで死者を見るかのようだった。

「お前ら、何者だ?」

リーダーの男は仲間に合図を送り、奈央の首に刃を押し当てて人質に取り、警戒心をむき出しにして二人を見据えた。

奈央は心の中で無言だった。彼らは何しに来たのか?

元々、この三人を奇襲して制圧するチャンスがあったのに、これでは刃を首に突きつけられ、動くこともままならない。

堯之は彼らを見て、薄く笑みを浮かべながら言った。

「女はどこにでもいるのに、よりによって俺の奈央ちゃんに手を出すなんて、命が惜しくないのか?」

「彼女を解放して」

椿は口を開いた。その口調は一見平静だったが、内心には抑えきれない怒りが渦巻いていた。

三人は馬鹿ではなく、二人が奈央のために来たことを理解した。

奈央の首に押し当てた刃をさらに強くし、脅しの意図を明確にした。

「二人とも、俺たちは金が欲しいだけで、命までは奪うつもりはない」

「なら、いくら欲しい?」

金は椿にとって最も無意味なものだった。

三人は顔を見合わせ、目の前の男が金に困っていないことを察した。これは大金を手に入れるチャンスかもしれないと考えた。

どうせここまで来たのだ。もらえるものはもらっておこう。

「こうしよう。雇い主から六千万をもらったが、そっちは一億二千万を出してくれれば彼女を解放してやる」

リーダーが提案した。

一億二千万だと?

椿の顔はさらに険しくなった。奈央のただの肩書きだけでも一億二千万以上の価値があるのに、こいつらは何も知らないようだ。

「いいだろう」

椿はうなずいた。

奈央は呆れて言った。

「宇野さん、私を救う必要はないわ。二人とも帰りなさい」

もしこの二人が突然現れなければ、三人をすでに制圧していたはずだったのに。

「霧島!」

椿は彼女の言葉に
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status