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第63話 大丈夫か椿

JKバーで、遊馬が個室のドアを開けると、次の瞬間眉をひそめた。

「こんな真昼間に、会社に行かずにここで酒を飲んでるなんて?大丈夫か椿?」

そう言いながら、彼はすでに椿の向かいに座り、少し心配しつつ、少し好奇の色を浮かべていた。

「大丈夫だ」

椿は答えたが、そう言ってまた一杯飲み干した。

これで大丈夫なわけがない。

遊馬はその言葉を信じていなかった。

しばらく考えた後、彼は尋ねた。

「あの霧島が原因らしいな?どうした?ちゃんと話し合ったのか?」

「話した。彼女はもう僕に会いたくないってさ」

椿は言いながら、言葉にはわずかな苦味が混じっていた。

遊馬は驚いたが、すぐに納得したように頷いた。

「そりゃそうだ。結婚して2年も会いに行かなかったんだから、彼女が不満を抱いてるのも無理はない」

「だけど、まさか彼女が……はぁ」

椿はため息をついた。

全く後悔していないと言えば噓になる。もし早くに奈央と接していれば、彼らは離婚しなかったかもしれない。

遊馬は彼の肩を軽く叩いて、慰めるように言った。

「彼女の態度にそんなに落ち込むことはないだろう?もしかして本気で彼女を好きになったのか?」

椿は黙り込んだ。

遊馬はさらに続けた。

「長い間にお前の周りに女性がいなかったから、その奈央に惹かれただけだよ。実際のところ彼女は普通の女だ。時間を無駄にする価値なんてない。

「名門お嬢さんなら何人知ってるぜ。紹介しようか?」

彼は本当に奈央を大したことないと思っていた。少し神秘的な感じはあるが、女性らしさという点ではかなり欠けている。

椿はその言葉を聞いて彼を鋭く睨んだ。

「ふざけんな!」

「まあまあ、真面目に言ってるんだよ。一度試してみたらどうだ?もっと好きな人が見つかるかもよ」

椿が恋愛に悩んでいるのを見るのは、彼にとってはなかなか面白いことだった。

椿はしばらく彼をじっと見つめた後、眉を少し上げて尋ねた。

「お前、今日は機嫌が良さそうだな。何か良いことでもあったのか?」

「まあ、いいことってわけでもないけど、ちょっと面白い人に出会ったんだ」

彼は笑い、目には遊び心が満ちていた。

椿は彼に構うのをやめた。遊馬はいつもふざけている。

「そうだ、昨日俺に戦場ヶ原家にちょっかい出すように言ってきたけど、本気なのか?」

遊馬は本題に戻
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