Share

第42話 私はそんなヤワじゃない

しかし、奈央は彼を一瞥しただけで、スマホを開き、自分に関するホットトピックを確認した。

コメントをざっと見ただけで、何が起こったのか大体わかった。

「気にしないで。ネットのあれは真実を知らない人たちが勝手に世論に流されているだけだ」

椿は心配そうに彼女を見つめた。

奈央はスマホをしまい、平然とした表情で言った。

「安心して。私はそんなヤワじゃないから」

もし外界の数行のコメントで簡単に動揺するようなら、今日ここまで来ることはできなかっただろう。

気持ちを整え、彼女は興味深げに婦人を見つめ、何が本当の目的なのかを尋ねようとした。だが、口を開く前に、カメラやマイクを持った記者たちが彼女に向かって走り寄り、彼女を取り囲んだ。

「Dr.霧島ですか?医者として患者の手術を拒否することは、医者の倫理に反しているとは思わないのですか?」

「その子供はまだ十代で、こんな若さで亡くなることに、良心の呵責を感じないんですか?」

「副主任の地位はコネで得たと噂されていますが、これについて本当ですか?」

次々と質問が飛び交う中、奈央は表情を険しくし、記者の一人を見つめた。

「誰がその子が亡くなったと言った?」

「そ、それは......まさか違うんですか?」

大出血は救えないと聞いていたが......

奈央は冷たい目でその記者を見つめ、続いて周りの記者たちを見回した。

「記者として、事実の調査もできないとは、早く家に帰って寝た方がいいわ」

「お前!」

その言葉に怒った記者が、問い詰めた。

「なら、子供の手術を拒否して居ましたよね?拒否していなければ、彼は無事だったはずです」

「その通りです。誰かが後ろ盾になっているからといって、何でも好き放題できるとさせませんよ。そんな医者としての倫理が欠けている奴は、社会的抹殺した方がいいです」

奈央は笑った。

社会的抹殺?奈央は笑った。まるで彼女が何か恐ろしい悪事を働いたかのような言い方だった。

そばにいた婦人は、好機を察し、すぐに駆け寄ってきて、泣きながら言った。

「皆さん、どうか息子のために正義を主張してください!この冷酷な医者がうちの子に手術をしてくれなかったせいで、他の病院に転院したらこんなことになったんです!

「彼女のせいでうちの子が危険な目に遭いました。どうか一緒に声を上げてください!」

Locked Chapter
Continue to read this book on the APP

Related chapters

Latest chapter

DMCA.com Protection Status