モブな勇者♂の相棒(バディ)は体(ボディ)も力(パワー)も規格外(チート)の元魔王♀! 非常識でジコチューのやりたい放題のチート元魔王♀と 翻弄される召喚モブ勇者♂が 魔王軍相手に無双して異世界を救う!? 平凡なサラリーマンのアグリは 突如異世界に転移した。 魔王討伐を命じられ、一振の剣をもらうのだが… その剣には元魔王が封印されていた。 そこから傍若無人の元魔王との魔王軍討伐が始まる。 課せられた運命にアグリは元魔王とチカラ合わせて突き進む。
Lihat lebih banyakせっかく気づかないように近づいたのになー。ゾルダには分かっていたのかー。「もー、いつから気づいていたのー」「そ……そんなの、だいぶ前からじゃ。 ワシに分からんものなどないのじゃ」「そーだよね、さすが真の勇者だねー」「ん? 何じゃ、真の勇者とは……?」しまったしまった。ボクとしたことが。これは知られてはいけないことだったんだー。「ううん。 何でもないよー」「あれ? 何でここにいるの、フォルトナ。 シルフィーネ村を出るときに何も話してなかったし」それはあの時はここに来ることは決まっていなかったしねー。「まぁー、それはそれだから。 今回は母さんからの伝言を伝えにきたんだー だけど、なんか面白そうなことをしているから、ついてきたんだけどねー」「えーっ! いつから俺たちについてきていたの?」「えーっと、今朝からかなー 昨日には街に着いていたしー アグリたちを見つけたんだけどねー」「なら、なんでその時に声かけてくれなかったんだよ」「疲れていたのもあるしねー まぁ、明日でもいいやーと思って」なんせ追いつくためにだいぶ頑張ってきたからねー。ここまでだいぶ遠かったしなー。「朝また探して見つけたから、ついてきたんだけどー さすが勇者……じゃないや、ゾルダだねー」「そうじゃろう、そうじゃろう。 ワシじゃからな」「で、ここで何しているの? ボクも手伝おうかー」この広い屋敷の外でなんかやってみるみたいだったけどー。本当は伝言も伝えないといけないけど……まずはゾルダたちが何をやっているかに興味あるなー。「イハルが襲われているって話だったというのは覚えている? フォルトナ」「うん。 母さんが言っていたことだねー」「でもここに来たら、こんな感じで襲われた痕跡はあるけど、魔王軍が居なくてね。 それで、俺もいろいろ街で調べたけど……」アグリが話すには、魔王軍が撤退した後、領主の姿が見えなくなったらしい。あと真の勇者様……じゃないやゾルダも魔力を感じているみたいで。どうもここが怪しいと感じているみたいだねー。でも、なんか知らないけどうまく忍び込めないらしい。「それじゃ、ボクが行こうか? こう見えても、忍び込むの得意だよー」そういうのはカルムさんから一通り教えてもらっているしー。気配消してささっと行けると
デシエルトとかいう奴の屋敷を訪れてから数日経つが……あやつは何をちまちまやっておるのじゃ!街に出ては人々に話を聞き、また屋敷へ向かって話を聞き追い返され……その繰り返しじゃ!いったい何をしたいのかが、さっぱりわからん。「おぬし、いったい何をしておるのじゃ」「情報収集だよ」「ジョーホーシューシューとな? 何をそんなに時間をかけておる」「まずは『敵を知り己を知れば百戦危うからず』だよ」「何じゃ、それは……」「敵を知って、自分を知れば、危険なことはないってこと」あやつは妙なことを言うのぅ。敵を知る必要ないじゃろ。「そんなのは圧倒的な力を示せば……」「それはそれでわかるけど…… 今は人質にとられているかもしれないデシエルトさんを助け出す必要があるから。 万が一にも、命を落とさせてしまってはいけない。 だから慎重に動いているんだよ」うーん。人というのはそういうものなのか。さっぱりわからんが……ただ、あやつのことを無視して、剣を捨てられてしまうと封印は解けなさそうじゃしのぅ。でも聞いてばかりじゃ進まんと思うのじゃが……「のぅ、おぬし」「何? ゾルダ」「話を聞いてばかりじゃ、何も起こらないと思うのじゃが…… ここは、屋敷の様子をこっそり覗くとか出来ないかのぅ」「確かに!」「そこでじゃ! ワシがこっそり覗いて来るというのはどうじゃ?」このワシにしては名案じゃろ!あやつもいい返事を出してくれるじゃろう。「うーん……」あれ?なんかワシが思ったのと反応が違うのぅ……「何かワシの案に不満でもあるのか?」「いや…… 案としてはいいんだけど、ゾルダに任せるのが不安というかなんというか……」何?ワシに任せられないというのか!「おぬしはワシが信用ならないというのか」「うん」あやつ、即答しおった。苦笑いしかでてこない。「な…何故じゃ」「えっと、そのまま暴れてこないかと……」「そんなことはせん! こっそり覗いてくると言ったじゃろ!」「えーっ、でもなぁ…… そうやってすぐ怒るし」確かにちまちまとやるのは性に合わないし……すぐに頭にくるが……でもこのまま何日も暴れられないのは困るのじゃ!「じゃが、じゃがのぅ…… やっ……やっぱり中の様子を伺ってじゃのぅ まずは直接見るのが、一番手っ取り早いのじ
到着した次の日。もう一度、会えるか確認するべく、俺たちは領主の屋敷へと向かった。たぶん会えないのだろうとは思うけど、やっぱり様子が気になる。「おぬしも意味のないことをするのぅ」ゾルダは領主の屋敷へ行くのは気乗りしないようだ。「まぁ、空振りに終わるだろうけど、少しでも何か掴めればと思って」「この手の奴らはそう簡単に尻尾を出さんぞ。 まだ辺りかまわずボコボコにしていく奴らの方が、相手は楽じゃ」「えっ? ゾルダのように?」「お……おぬし、何を言う。 ワシは、もっと狡猾じゃぞ」「あれだけ力任せにやっていて?」「あっ……あれは……」ゾルダはちょっとふくれっ面になってきた。「あれは、ワシの方が完全に力が上だったから、ボコボコにしただけで…… 決して何も考えていない訳じゃないぞ。 勘違いするな、おぬし」いや、あまり考えていなかったような気もするが……ゾルダと対等という相手を見たことがない以上、確認する手だてはない。「あー、わかったわかった。 ゾルダもよく考えて行動しているよ」「おぬし信用してないな、その口ぶりは。 今回、どうするかよーく見せてやるから見ておれ」ゾルダがどういう風に今回のことにどう対応するか見てみたいと思ったので、ちょっと聞いてみた。「じゃあ、ゾルダだったら、どう様子を探る?」「そうじゃのぅ……」何やら真剣に考えている様子。もしかしていい案が出てくるかな……「まず門番をブチ倒して、昨日出てきて男も倒して、乗り込む」期待した俺がバカだった……やっぱり正面からじゃん。「そんなことして、もし領主が人質にとられていたらどうするんだ?」「一人二人死んでもかまわんじゃろぅ。 ようは敵を倒せれば問題ない」相変わらず強引だ。というか、ゾルダは元々魔王だし、人を助ける義理はないのか。「今回は、イハルから魔王軍を撃退してほしいというのが国王からの依頼。 ただその中には俺はイハルの人々も守ってほしいというのも含まれていると思っている。 領主もイハルの街の人だし、助けるうちには入っているよ」「そういうものかのぅ。 人族は面倒じゃ」ゾルダに人の論理を分かってほしい訳じゃないが……今は人の側にたっている以上、その論理の中でやってもらわないとな。「悪いけど、俺につきあうなら、俺の言うことも聞いてくれ。 じ
アグリとゾルダが旅立ってから数日がたったんだけど……なんかモヤモヤするー。ん?モヤモヤじゃないかー。ソワソワかなー。母さんは相変わらず人使いが荒いし。今日も人手が足りないからって風車の修理手伝ってこいって。その前も、カルムが別の用事でいないからってさ。国王に勇者たちの報告に行って来いって、セントハムまで行かされるし。もう!ボクだって!魔物退治を手伝ったんだから、少しはゆっくりさせてよ!「おーい、お嬢! こっちの風車の修理は終わったぞ!」風車の上からオンケルがボクに向かって大声で叫ぶ。「はいはーい! ありがとう! これで、全部修理は終わったかなー」でも、なんだかんだで言われている通りやっているボクはえらいね。自分で自分を褒めちゃおう。「そうなりやすねー、お嬢」「オンケルさん、もうお嬢はやめてよー ボクはフォルトナっていう名前あるんだから」「あっしにとっては、いつまででもお嬢ですよ。 長の娘でもあるわけですから」この村にいるとこういう風に扱われるのが嫌なんだよなー。もっともっと自由にいろんなことしたいのに。祠を見て回っている時が楽しいや。それに……やっぱりゾルダとアグリと一緒に魔物退治しにいったのが、なんだかんだで楽しかったなー。ちょっとした冒険っていう感じで。またあの二人と一緒に冒険したいなー。「まぁ、とりあえず終わったなら、母さんに報告しておくねー オンケルさん、ありがとう!」「お嬢もお手伝いいただきありがとうございやす。 人手も足りなくて苦労していたので、助かりやした」「いいよー、そんなことー お礼は母さんに言っておいて! 手伝ってこいって言ったのは、母さんなんだから」そう話すと風車の下を離れて、家へ向かっていった。向かっている途中に、さっと後ろを動く影が見えた。あれは……「ねぇ、カルムさんでしょ? 母さんに何か言われた? 尾行、甘くない?」尾行じゃないなー、あれは。たぶん、わざと気づくように動いたかなー。「さすがですね、フォルトナお嬢様」カルムさんがボクのすぐ横に姿を現した。「そんなことより、母さんにしっかりやっているか見てこいって言われたの? もー、まったく心配性なんだからー」「いいえ、アウラ様はそんなことはおっしゃっておりません。 私が用を済ませて帰る途
シルフィーネ村を旅立ってからどのくらいたっただろう。岩がゴツゴツと飛び出ていた北東部の丘を越えて……永遠と砂の海が広がるところを何日も歩いた。「まだ着かないのか~ ずっと同じような景色でさー 進んでいる気がしない」「仕方ないじゃろ。 この砂漠は広大じゃ。 でも、あともうちょっとじゃ、頑張れ」ゾルダは剣の中でのうのうとしている。シルフィーネ村を旅立ってから、一度も出てきてない。ずっと一人で歩いている。汗もだらだら出るし、水を飲んでも飲んでも足りない。なんとか水を確保しつつ進んでいるけど……それでも足りない。「あのさー、ゾルダ。 一歩も外に出てないのにさ。 何が『あともうちょっとじゃ」だ。 楽しすぎだろ」「ワシは戦うときと飲むとき以外は出とうない。 こんな暑いのに外に出る意味はないのぅ」ゾルダの言うこともわかる。大いにわかるが……「なんで俺だけがこんな目にあうんだ。 この暑さ、ゾルダも味わえよ」「いやじゃ、いやじゃ。 おぬしだけで十分じゃ」はーっ……そりゃそうだ……まぁ、気を取り直して進むしかないか。ゾルダが出てこないまま、またしばらく歩くと、ようやくイハルの街が見えてきた。砂漠の中のオアシスといった感じの街のようだ。たしか、シルフィーネ村を出るときに、アウラさんが、『イハルに入るには魔王軍を倒さないと入れないかもしれません。 魔王軍を倒して、イハルに入ったら、領主であるデシエルトを訪ねてくださいね。 国王から、勇者様が行くことは伝わっていますので~」とか話していたな。でも、イハルの街を見ても、魔王軍の欠片もない。確かに外壁は崩れていたりはするけど……「なぁ、ゾルダ。 なんかアウラさんの言っていた状況と違わないか」「うむ。 そろそろ戦えるものと思っていたが…… 静かじゃのぅ」城壁の扉の中へ入り、街を見渡しても、特に大きな変わりはない。人々も壊れた家や道路を忙しそうに修復している。「いったん魔王軍は撤退したんだろうか」「そうじゃのぅ……」「まずは領主のデシエルトさんのところへ行くか」街の中心にある立派な屋敷へと向かう。至る所が破壊されていて、魔王軍の進軍の凄まじさがわかる。「どれだけ強い魔物が来たんだろうな。 あちこちが壊れている」「ワシから見たら取るに足らんものば
「なぁ、ゾルダ。 そろそろ、剣から出て姿を見せてくれないか。 一人きりで歩いているのも、なんだかさみしく感じて」あやつが何か心許なく感じておるみたいじゃのぅ。「なんじゃ、おぬしは一人ではさみしいのか」「そうかもしれない。 ここのところ、フォルトナも居たし、賑やかなことが多かったから。 もくもくと歩いて、戦って…… そういうのもなんかなぁと思って」そういえば、シルフィーネ村を旅立ってから数日は経っておるところじゃ。それも致し方ないのかのぅ。人というものはお互い触れ合っておらんとさみしいのかもしれん。「小娘も、小娘の娘も、ワシからしたら賑わしいったらありゃしない。 あんな五月蠅い奴らとの旅はもうごめんじゃ」「そうかなぁ…… 俺は楽しかったけどな。 久々に人の温もりを感じて嬉しかった」まぁ、道中はともかく、村で酒を飲めたのはワシも嬉しかったぞ。ただ、もう少し酒が飲みたかったのぅ。休息も兼ねて数日は浴びるほど飲んだのじゃが。少し酒をくすねてくれば良かったかのぅ。「ほぅ、それは良かったではないか。 また向こうに着いたら、そういう奴もおるじゃろう」「そういう気さくな人たちがいるといいな」そういえば村をたつ前に見送りに来ていた小娘の娘は、いつもの元気じゃなかったのぅ……小娘の娘もさみしかったのかもしれんな。まぁ、ワシの知ったことじゃないがのぅ。「ただワシは、他の者がいると剣に入れずゆっくり休めん。 今は、剣の中で休ませてくれ」「えーっ」「おぬしは文句を言わず歩け。 魔物が出てきたら倒せ。 もうザコしかおらんじゃろ」それにしても、あやつとワシはじじいからの伝言もあって東の……なんとかって街に向かっているところじゃが……なかなかと辿りつかんのぅ。あと数日はかかるやもしれん。もう少し剣の中でゆっくりできるじゃろ。ところで、ゼドは何を企んでおるんじゃ。思惑はどこにあるのじゃ……まず何故ワシを封印したのか。ワシに対して何かの不満があったのじゃろうが……それとも野心が膨らんできたのか。ゼドの内心まではわからんが、そんなところじゃろう。あとはこの封印の仕方じゃが……あやつとの行動でなんとなくじゃが、分かったことは……あやつの存在が封印を解く鍵なのじゃろう。勇者と言っておったからのぅ。魔王と勇者は相
北の洞窟ではいろいろあったけど、とりあえずは役目は果たせたかな。この後は、どうすればいいんだっけ……王様への報告をしにいけばいいのかな。村へ帰る道中は、ひと仕事終えたこともあり、気分も楽になっていた。ゾルダは相変わらずだし、フォルトナもなんだかんだ言って元気だし。それに……全員無事に帰れることは何よりだ。しかし、ゾルダがブチギレした所為で、結局は魔王たちの目的までは聞き出せなかった。ブチギレて無くても、あのシエロの賢さじゃ……まぁ、わかってなかったかな。思い出しながら、苦笑いする。分かったのは何かをやるために魔王が動いていること。それと、先陣でクロウって言う四天王が動いていることかな。ゾルダは全然そのクロウってやつを知らなかったみたいだけど……そのことは、道中、フォルトナが寝ているときに、それとなくゾルダに聞いてみた。でもやっぱり覚えていないらしい。現魔王のゼドと当時の四天王以外はあまり接点はなかったらしく……『そんなこと言われても、覚えておらん』と言われ、一蹴された。ゾルダの記憶力も本当にいいのか悪いのかよくわからない。封印されていたって言っていたけど、その影響もあるのかな。そんなことを考えながら、村へ向かっていた。しばらくすると、フォルトナが大きな声を出した。「ほら、アグリ、シルフィーネ村が見えてきたー やっと帰れたねー この村がやっぱり落ち着くなー」フォルトナは無邪気に笑い、村へと走っていく。一方、ゾルダも……「今晩は、いい酒が飲めそうじゃ。 しばらく飲んでないからのぅ」やっぱりはやく酒が飲みたいらしい。「先にアウラさんに報告してからな」そして、シルフィーネ村へ着くとすぐにアウラさんの屋敷へと向かった。屋敷の前にはアウラさんとカルムの姿があった。「アウラさん、ただいま戻りました」「あら、勇者様。 さすがお帰りが早いですね。 首尾よく行きましたか? フォルトナはご迷惑をおかけしていませんでしたか?」矢継ぎ早に質問がくる。「えっと、そうですね…… 北の洞窟にいた魔物は倒すことが出来ました」アウラは俺の報告に笑顔で応える。「はい、勇者様であれば当然のこと。 そこまでは気にしてませんでしたよ」結構大変だったんだけどな……まぁ、それだけ信頼してくれている証でもあるんだが……「
「ううううっ……」何か遠くから声が聞こえるような気がするなー。なんだろうー。「……ル……ナ」「フォ……ト……」「フォルトナ、大丈夫か?」アグリの声がはっきりと聞こえた。ハッとして目が覚めた。ボクはいったい何をしていたんだっけ……「たしか、洞窟の入口まで来て…… 祠を見つけて、誰もいないから走っていったら……」覚えていることを順番に話していると……「おう、そうじゃそうじゃ。 その後シエロとやらに踏みつけられたんじゃ、小娘の娘」ゾルダがニヤニヤしながら、ボクの顔を見てきた。あっ、そうだったー。誰もいないと思って油断していたら、魔物に襲われたんだっけ。「そっ、それでその魔物は?」「ん? あれを見てみろ」洞窟に入った時にはなかった真っ黒な像みたいなのが立っていた。あれはいったい……「あれがシエロとやらじゃ」「えーっ」「見ての通り、もうとっくに倒したのじゃ。 ワシ……じゃなくて…… 今回はあやつがじゃ」ボクが気絶している間に倒しちゃったのか―アグリが倒したって言っているけど、今回もゾルダでしょ。真の勇者はゾルダなんだから。※注 フォルトナはゾルダが勇者でアグリが勇者の影武者だと思い込んでいます。でもなんか周りをよく見ると氷が一面にはっている。「うーっ、なんか寒いよー」体がブルブル震えだす。そりゃ、寒いわけだ。「入ってきたとき、こんなんだったけ?」「えっと…… どう説明すればいいかわからないんだけど…… 戦いの最中にこうなっちゃって……」アグリが魔物との戦いについて話し始めた。魔物はオルトロスで、名前はシエロと言うらしい。ボクが踏みつけられて、そこで気を失ってしまったらしい。そのまま人質にとられていたみたい。「慌ててつい出て行っちゃったからなー」「仕方ないよ、フォルトナ。 俺も魔物が上にいるとは思わなかったし」その後、アグリとゾルダが連携して、助け出してくれたらしい。人質を助けられた、怒り狂ったシエロが洞窟内を氷まみれにして危なかったけど……最終的にはなんとか倒せたらしい。「ふーん、そうなんだー でも、倒せたみたいなら良かったねー」「小娘の娘が捕まらなかったら、もっと楽に倒せたものを」「そうだよ、フォルトナ。 魔物がいるかもってところに来ているんだから、気をつけないと」
勇者様は北の洞窟へ向かわれていますが、無事着いたでしょうかね……山のヌシもいると噂の山の中ですが、そう滅多には出てこないはずです。もし仮に出てきたとしても勇者様ならすぐに撃退されるでしょう。うふふふふふ……って、また勇者様のことを考えてしまいました。こちらはこちらで勇者様が取り戻していただいた祠を直さないといけません。「カルム、カルムはいますか?」「はっ、なんでしょうか、アウラ様」「あなたのお友達にお手伝いをお願いしたいの。 北西部の森と北東部の丘の修復とこの風の水晶の設置をお願いしてくださいますか?」「はっ、承知しました」「あと、それが終わったら私と一緒に南の森の祠の修復を手伝ってくださいね」「はっ。 しばしお待ちを」カルムは私の前からさっと姿を消していきました。まぁ、カルムのお友達もしっかりとした人ばかりなので、仕事も早いでしょう。私は南の森へ行く準備でもしましょう。どのくらい修理しないといけないのかはわかりませんが……まぁ、森ですし資材は現地で調達すればいいでしょう。風の水晶は忘れずに持っていかないとですね~。「アウラ様、ただいま戻りました。 わが友に連絡し、手配を完了しております」あら、さすがに早いわね。早速戻ってきましたね。「ありがとう、カルム。 それでは私たちも向かいましょうか」「はっ」出かける準備が完了した私たちは南の森へ向かいました。勇者様がウォーウルフキングを倒していただいたおかげで、魔物もあまり居ませんね~。「そういえば、カルム。 こうやって村の外へ出るのは久しぶりですね」森の空気を吸いながら祠の場所を目指しながら、カルムに話しかけます。「はっ。 アウラ様が村の長になられてからは、あまり出て行かれていないかと」カルムは相変わらず几帳面というか真面目というか……「そうね。 長の仕事はそれなりに大変でしたからね。 以前のように自由にはいきませんね」長に就任してからは、村の内政にかかりっきりでした。「カルムたちと一緒に冒険に出ていたことろが懐かしいわ。 それと…… 誰もいないところでは、前と同じように話していただけませんか」ふと昔のことを思い出し、カルムに無茶ぶりをしてみました。「しかし…… 今は長ですから、そうやすやすと……」やはりカルムは真面目ですので、そう
俺はアグリ。何故かこの世界で勇者となった。そして魔王討伐の旅に出ている。で、今はその旅の途中なのだが……「このワシに立てつくとはいい度胸しておるのぅ」容姿端麗で見た目は美しいが終始高圧的な態度の女性が、容赦なく敵を蹴散らしていく。「さすが、ねえさま。素晴らしいですわ」現代で言えばゴスロリ風というのだろうか……そういう服を着ている、まだ容姿としては幼い女の子がうっとりした目をしている。「おいどんにも残しておいてくだされ」強面で筋骨隆々ないでたちの男性が、肉体をこれ見よがしに見せながら敵をなぎ倒す。「もう少しスマートに出来ないものですかね。私のように」執事風ですらっとした体系の男性が、そう言いながら華麗に敵を倒していく。「暑いわ。いややわ。わっちの肌がヒリヒリしてきたわ」後方で素肌を眺めながらのんびりと構えている女性。出るところが出て、引っ込むところは引っ込む、所謂物凄くグラマラスな女性だ。そのスタイルがわかる姿は、目のやり場に困る感じだ。……と、なんだろう。この状況は。みんながみんなだいぶ好き勝手にやってくれている。「おい、お前ら! やりたい放題やって、さっきの話はどうなった?」終始高圧的な態度をしている女性が攻撃をやめて、睨みかえしてきた。「さっきの話とはなんじゃったかのぅ……忘れたぞ 目の前に敵がいるなら堂々と蹴散らすのみじゃ」なんでこう話を聞かないのか。「なぁ、ゾルダ。 敵を倒すのはいいんだけど、もっと自重しろっていったよな。 辺り一面火の海じゃん」終始高圧的な態度を示す女性の名はゾルダという。「これでもワシは自重しておるぞ。 周りが脆いだけじゃ」そしてこのゾルダ。実は元魔王である。「ゾルダの自重は自重になっていないんだって。 後々から言われるのは俺なんだからな」そう、勇者である俺のバディでもある。そして他の4人も元四天王でゾルダの部下である。今はこの5人と共に魔王討伐の旅に出ていたのだった。俺も何故元魔王たちと一緒にいるのか不思議だ。勇者には勇者の仲間がいるのが普通だが、今の俺の仲間と言えるのはこの元魔王と元四天王だ。勇者が元魔王の力を借りて現魔王を倒しに行く。自分で言っていても訳が分からない。それにこいつらは本当に元魔王だし、元四天王なのだ。魔族だし、人の常識にあてはめ...
Komen