転生吸血姫

転生吸血姫

last updateHuling Na-update : 2025-03-14
By:  根上真気In-update ngayon lang
Language: Japanese
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遊び人男が女に刺殺されて転生したのは吸血鬼の王女。城に住み臣下がいて美少年に愛され幸せに見えたが...国の経済状況はひっ迫していた。何とかするにはある国との関係回復が必須。その国には三人の王子がいる。どれも一筋縄ではいかないイケメン王子様!絶世の美少女となった主人公が遊び人だった前世を活かし彼らを虜にして国を救う!? 男女逆転(TS)転生!ロマンスコメディ・ゴシックファンタジーが幕を開ける!

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ep1 プロローグ

この物語を始めるにあたり、始めにいささかの説明を必要とせざるを得ないことがある。それは主人公となるヒロインについてだ。なぜなら、彼女には三つのややこしい事情が存在するからである。ひとつは転生者であること。ひとつは転生前の記憶と人格をそのまま保持していること。ひとつは吸血鬼であること。 まずは、上記のことを踏まえた上で彼女のことを見ていただければと、お伝えしたい。それともうひとつ。彼女について、あらかじめご了承願いたいことがある。それは、彼女の転生前については多くを語りたくないということだ。理由は簡単だ。転生前の彼女...否、彼は、最大限言葉を選んで言えば、バカのつく遊び人だったからである。彼の特徴は二つ。長所→女にモテること。短所→女グセが悪いこと。さて、ここで簡単な算数の問題を考えてみよう。例えば「+10」と「ー10」があった場合に、それらを「かける(×)」とどうなるか?「ー100」だ。すなわち、それが彼である。そして大きくなった彼のマイナスは、いつしか彼の身に降りかかることになった。いや、こんな格好つけた表現、コイツにはいらない。彼は持ち前の女グセの悪さが災いし、数えきれないほど遊びまくった挙句に痴情の縺れで刺殺され、まだ若くしてその人生を終えたのである。どうだろう。おわかりいただけたであろうか。ヒロインの転生前について語りたくなかった理由が。叩けば埃が出まくりなのだ。そんなヤツが、何の因果か異世界の吸血姫に転生してしまったというのだから、この世はまことに奇妙というもの。いずれにしても......。新たな人生を歩んでいく彼女がどうなるのか。前世を反省して悔い改めるのか。前世を省みずバカを続けるのか。それはまだ誰にもわからない。そんな彼女を、あたたかい目で見守るも、冷たい目で突き放すも、皆様の自由です。しかし、願わくば皆様が、彼女の行く末に、どうか一喜一憂し賜らんことを。...

Magandang libro sa parehong oras

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7 Kabanata
ep1 プロローグ
この物語を始めるにあたり、始めにいささかの説明を必要とせざるを得ないことがある。それは主人公となるヒロインについてだ。なぜなら、彼女には三つのややこしい事情が存在するからである。ひとつは転生者であること。ひとつは転生前の記憶と人格をそのまま保持していること。ひとつは吸血鬼であること。 まずは、上記のことを踏まえた上で彼女のことを見ていただければと、お伝えしたい。それともうひとつ。彼女について、あらかじめご了承願いたいことがある。それは、彼女の転生前については多くを語りたくないということだ。理由は簡単だ。転生前の彼女...否、彼は、最大限言葉を選んで言えば、バカのつく遊び人だったからである。彼の特徴は二つ。長所→女にモテること。短所→女グセが悪いこと。さて、ここで簡単な算数の問題を考えてみよう。例えば「+10」と「ー10」があった場合に、それらを「かける(×)」とどうなるか?「ー100」だ。すなわち、それが彼である。そして大きくなった彼のマイナスは、いつしか彼の身に降りかかることになった。いや、こんな格好つけた表現、コイツにはいらない。彼は持ち前の女グセの悪さが災いし、数えきれないほど遊びまくった挙句に痴情の縺れで刺殺され、まだ若くしてその人生を終えたのである。どうだろう。おわかりいただけたであろうか。ヒロインの転生前について語りたくなかった理由が。叩けば埃が出まくりなのだ。そんなヤツが、何の因果か異世界の吸血姫に転生してしまったというのだから、この世はまことに奇妙というもの。いずれにしても......。新たな人生を歩んでいく彼女がどうなるのか。前世を反省して悔い改めるのか。前世を省みずバカを続けるのか。それはまだ誰にもわからない。そんな彼女を、あたたかい目で見守るも、冷たい目で突き放すも、皆様の自由です。しかし、願わくば皆様が、彼女の行く末に、どうか一喜一憂し賜らんことを。
last updateHuling Na-update : 2025-03-14
Magbasa pa
ep2 目覚め
まぶたをひらくと、彼女の目に飛び込んできたのは、美少年の白い顔だった。「......お、王女が、目覚めた!?」彼女の顔を覗き込んでいた美少年は、小刻みに震えだした。今の今まで一度たりとも目覚めることのなかった彼女の麗しい寝顔は、決して触れてはいけない神聖な宝石。それが今、本来の輝きを取り戻して眩い光を放つように、紅い瞳を彼に向けてきたのだ。「……お、おまえ、だれ?」彼女は彼を見て言った。しかし彼は何も答えられなかった。彼女の声を聞いた瞬間、感動が頂点に達し、わずかな言葉が口から出ることすらも困難になってしまったから。美少年はよろよろと後ずさって床に尻餅をついた。 「?」何が何だかわからない彼女は、疑問を浮かべながら、ゆっくりと上体を起こした。頭がボーッとした。何かとてつもなく長い眠りから覚めたような、あるいは衝撃的な悪夢から醒めたような、感じたことのない気だるさがあった。「てゆーか、ここどこなんだ。病院なのか......?」彼女は天蓋のかかった大きなベッドから出て、部屋を見回した。やけに高い天井。やけに広い室内。妙に趣きのある西洋の古風な屋敷のような部屋は、とても日本とは思えない。「お、王女様......!」やっと立ち上がった美少年が、いきなり彼女の足元へ跪いた。「え?」彼女はぎょっとする。「な、なに」「お、王女様。いえ、リザレリス王女殿下!」美少年の声が広い部屋に響く。 「......は??」彼女はマヌケな声を洩らして、ポカーンとする。「私は今すぐディリアス様へ知らせて参りますので、ここでしばしお待ちくださいませ!」そう言って美少年はうやうやしく頭を下げてから、部屋を飛び出していった。「な、なんなんだよ、いったい」寝耳に水とはまさにこのこと。彼女には何が何だかさっぱりだった。「そもそも、なんで俺が王女様なんだよ......」そう呟いた次の瞬間、彼女はハッとする。突如としてあらゆる違和感が怒涛のように押し寄せてきた。「俺......俺じゃない!?」
last updateHuling Na-update : 2025-03-14
Magbasa pa
ep3 王女
彼女の名前はリザレリス・メアリー・ブラッドヘルム。この国〔ブラッドヘルム〕の建国者である伝説の吸血鬼ヴェスペリオ・リヒャルト・ブラッドヘルム王を父に持つ、吸血鬼のプリンセスである。かつてブラッドヘルム王からプリンセス・ロイヤルの称号も与えられているリザレリスは、まさしく正統なる終身の吸血姫だ。「あ、あのぉ......」気がつけば舞台衣装のような宮廷ドレスにティアラまで被せられ、促されるがままに玉座へ座らされていたリザレリスは、ひたすら当惑していた。 彼女の眼前には真紅の絨毯が川のように伸び、それを挟んで城の者たちがズラッと総出で片膝をついている。数段高い玉座から、彼女が彼らを見下ろす光景は、まさに王女と家来たちの構図といったところだ。ただし家来たちに、それを強制されたような様子は微塵もうかがえない。むしろ抑えきれない王女殿下への拝謁の喜びを堪えているように見える。というのも......。ついさっきまで、城中てんやわんやの大騒ぎとなっていたからだ。ついに五百年の眠りからリザレリス王女が目覚められたと。その間、当のプリンセス本人は現実についていけず、ただただ狼狽するのみだったが。「王女殿下。どうかお言葉を」彼女の隣に寄り添って立つこの眼鏡をかけた長身痩躯の年配紳士はディリアス。彼は王女の側近となる人物だ。「そ、その、ディリアス」「なんでございましょう」「い、いや、なんでもない」リザレリスの頭の中の混乱は一向に収まっていない。前世で刺されて死んだ男が、どこぞのお姫様に転生した。それは理解した。だが、理解はしても受け止めきれていなかった。「......てゆーか、なんで前世の記憶も人格もそのままで、このリザレリスとかいう女のそれはまったくないんだ?」思わず口をついて出てしまう。はたとしたリザレリスは、ディリアスの顔を見上げた。ディリアスはきょとんしている。「王女殿下。なんとおっしゃいましたか?」彼の顔を見つめながらリザレリスは逡巡するが、すぐに覚悟を決めた。というより、すでにもう面倒臭くなったのだ。「俺の言葉だけど......」リザレリスはすっくと立ち上がった。
last updateHuling Na-update : 2025-03-14
Magbasa pa
ep4 忘却の王女
一同の視線が、彼女の光輝で麗しい姿へ集中する。美しい黄金の長髪に薔薇のような紅い瞳。それらをより際立たせる透き通るような白い肌。まだ十代のうら若き乙女に見えながら妖艶さも秘める比類なき美貌。まさしく、彼女こそ伝説の吸血鬼の娘、吸血姫(ヴァンパイアプリンセス)だといって誰もが疑わないだろう。「......」皆、息を飲んで彼女を見守っている。リザレリスは大きく息を吸い、口をひらく。「俺、なんにも覚えてないんですけどー!!」 広々とした玉座の間に、王女の声がトランペットのように響き渡った。シーン。水を打ったような静寂。この場にいる誰もが、虚をつかれて固まっていた。「あ、あの、王女殿下」ややあってから、おそるおそるディリアスが声をかけた。リザレリスは彼に一瞥をくれてから、再びキッと前を向く。「だから俺はリザレリスなんて姫様のことも、このブラッドヘルムとかいう国のことも、何もかもなんにも知らないんだよー!!」隣のディリアスが狼狽える中、もはやリザレリスは完全に平常心を失っていた。「はあ?吸血鬼?なんだよそれ!意味わかんねーわ!五百年も眠ってたって、じゃあ俺は今いったい何歳なんだよ?」「お、王女殿下、どうか落ち着いてください」「うるせー!てゆーか、そんなに長く眠ってたくせに、なんでいきなり起きてフツーに活動できてんだよ!何もかもわけわかんねーよ!」「お、王女殿下がご乱心だ!!」ディリアスと他数名の重臣たちが慌ててリザレリスを取り囲んだ。「は、離せよ!」「王女殿下!いったんお退がりください!」「いいから離せって!俺はプリンセスなんだろ!?」「と、とにかく殿下を自室までお連れしろ!」ディリアスの指示の下、重臣たちの手により、リザレリスのわめき声が玉座の大広間から遠ざかっていった。取り残された臣下の者たちは茫然としていた。「......お、王女殿下は、記憶を失くされたのか?」この時、王女殿下が女王陛下に即位することが棚上げになったのは言うまでもない。
last updateHuling Na-update : 2025-03-14
Magbasa pa
ep5 どうでもいい
「私としたことが、つい舞い上がって先走ってしまいました。大変申し訳ございませんでした......」自室に戻ってベッドに腰かけたリザレリスは、中年紳士のディリアスから深々と頭を下げられた。彼のロマンスグレーの頭髪がリザレリスの瞳によく映る。「よくよく考えればわかることでした」むっつりとしたまま答えないリザレリスに向かい、ディリアスが顔を起こした。「リザレリス王女殿下は五百年間も眠ったままだったのです。記憶を失くしていたとしても不思議ではありません。たとえ記憶を失くしていなかったとしても、混乱は避けられなかったでしょう。五百年前がどうだったのか。私は残された記録によってしか知りません。ですので実際にどうであったのかはわかりませんが......きっと今とは世界も大きく異なったのでしょう。とりわけブラッドヘルムは......」そしてディリアスは床へ膝をつくと、リザレリスへ、知るべきと思われることを語った。世界のこと。吸血鬼のこと。ブラッドヘルムのことを......。「......ということです。臣下の者たちへリザレリス王女殿下をお披露目する前に、こうして私から殿下へきちんと説明すべきでした。本当に申し訳ございませんでした」ディリアスは再び頭を下げた。しばらく彼を見つめてから、不意にリザレリスがすっと立ち上がった。ディリアスは顔を起こす。「王女殿下?」リザレリスは部屋の中を進んでいくと、姿見の鏡の前で立ち止まった。「これが、今の俺......」正直、しっかりと説明を受けたところで、やはり受け止めきれない。質問したいことも山ほどあれば、頭に入ってすらこないことも多くある。そもそも、考えるのも面倒だった。この世界がどうとか、国がどうとか、吸血鬼がどうとか言われても、他人事のようにどうでもよく思える。だって自分は日本人の青年で、女にモテて、日々を充実して過ごしていたんだ。最後の最後で女に刺されてしまったけど、それまでは本当に楽しくやっていたんだから。
last updateHuling Na-update : 2025-03-14
Magbasa pa
ep6 新たな想い
リザレリスの頭と心には、未だに前世への未練が色濃く残っていた。だが、鏡に映る絶世の金髪美少女をじっくりと眺めているうちに、ふと新たな想いが湧き起こってくる。「美人のお姫様、か」実際の吸血鬼というものがどんなものなのかは、まだよくわからない。だけど、美人のお姫様の人生というのは、悪くないんじゃないか?この中世時代っぽい文明の世界では退屈することも多そうだが、少なくとも金に困ることは無さそうだ。どうせならイケメン王子様に転生したかったけど、こればっかりはしょうがない。こんなプリンセスに転生できただけでも、俺ってガチャ運良くね?「で、殿下?」リザレリスを見つめていたディリアスがギョッとする。彼女が自らの胸を艶かしくまさぐりはじめ、その白く小さな横顔に妖しい笑みを浮かび上がらせたから。「ど、どうかなされましたか」「いや、べつに」リザレリスは腕を下げると、くるっと鏡に背を向けた。それからパッと中年紳士へ振り向き、気取ったセレブのような仕草をする。「豪華な食事を用意できるか。長い眠りから覚めて俺...じゃなくてわたしはまだ何も食べてないんだ」途端にハッとしたディリアスは「イエス・ユア・ハイネス(かしこまりました)」と、お辞儀をしてから、そそくさと部屋を飛び出し部下へ命令した。
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Magbasa pa
ep7 極上のデザート
桟橋のように長〜く伸びたテーブルの上座、すなわちお誕生日席に着いたリザレリスは、豪勢な料理の数々が運ばれてくるなりガツガツと食べ始めた。「うん。まあまあイケるな」野菜から肉から次々とむさぼっていく彼女の姿は、王女様というより育ち盛りの体育会系中学生男子のようだった。お行儀もお作法もあったもんじゃない。側近のディリアスをはじめ家臣たちは皆、暴食のプリンセスを唖然として見守っていた。「ふーっ、食った食ったぁ」食事を終えたリザレリスは、グダっと背もたれに体を預けてディリアスへ視線を投げる。「食後のデザートは?」 そんなおてんばプリンセスの態度に対しても、中年紳士ディリアスの対応はやけに落ち着いていた。「もちろんでございます。只今ご用意いたします」ディリアスが部下へ目配せをし、部下は速やかにどこかへ移動していく。しばらくして部下が戻ってくると、リザレリスは「ん?」となる。「王女殿下。食後のデザートでございます」ディリアスがそれを、着座するリザレリスの横にひざまずかせた。それは食べ物にあらず。王女へ差し出されたのは、端麗なる女のように美しい、十五歳の銀髪の少年だった。「お、おまえはたしか」リザレリスは彼を知っていた。「そうだ。俺...じゃくて、わたしが目覚めた時に最初に目にしたヤツだ」「さようでございます。私のような者ごときが王女殿下を驚かせてしまい大変申し訳ございませんでした」美少年はうやうやしく受け答えた。「で、コイツがなんなの?」リザレリスがたずねると、ディリアスはそっと美少年の肩に手を置いた。「王女殿下のためにご用意いたしました、極上のデザートでございます」「は?」リザレリスは首をひねる。「意味がわかんないんだけど」「こちらはリザレリス王女殿下が目覚めた時のためだけにご用意していた、この時代のこの国でご用意できる最高の生け贄でございます」ディリアスの眼鏡の奥の眼が妖しく光った。
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