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第20話

真弓は目前の男を見つめた。

少しお腹が出て、確かに普通で、あまり印象に残らないタイプだった。

彼女は視線を引っ込めて、さりげなく言った。「成程、それで馬場先君に無理させるつもりはありません」

「僕は樋口グループでどんな身分だと思う?トップクラスで、年収数千万円だぞ」高志は腹立つながら誇って言った。

真弓は「チェっ」と言って、気にせずに立ち去った。

真弓の背中を見て、彼は暫く呆れた。

自分の条件で、真弓は喜んで承諾してくれると思ったが、彼女に軽蔑されてどうも理解できなかった。

元々真弓のことを気にしていなかったが、鈴木家が北城で実力があるから、断れなかった。でも、今日、真弓を見るとびっくりするほど、写真よりきれいだったことを知った。こんな女、嫁じゃなくて、遊び相手としても悪くはないと思った。

口角に非常に邪悪な笑みが浮かんだ。

この時、真弓は高志の気持ちを考える余裕はなかった。早く鈴木家を離れたかった。

「姉さん」

後ろに再び瑠璃子の声が伝わって来た。

真弓の顔が暗くなった。

文哉の傍にいてあげなくて、どうして自分ばかりに付き纏って来るのか?!

「高志は普通の恰好ですが、誠実で信頼できる人で、収入も安定していて、あの消防士よりずっといいでしょう!継母なら、もっと安心できる相手を選んだ方がいいじゃないですか?」瑠璃子は優しく言った。

「醜いから正直者と言えるのか?」真弓が振り返り、瑠璃子を一通り見つめた。

真弓に見つめられ、瑠璃子は緊張してきた。

「君に悪知恵が多いじゃないか?」真弓は嘲笑し、一言を残して去って行った。

しばらくしてから、やっと真弓の話の意味を悟った。彼女のことを醜くて悪いと罵ったのだった。

彼女の顔色が瞬く間に真っ赤となった。でも、真弓はとっくに見えなくなった。

瑠璃子は歯を食いしばった!

今日、真弓に戻ってもらった目的は、高志と一緒にさせることだった。

今、文哉と一緒になって、親戚や友人も彼らの関係を知っていたが、公開できなくて、ずっと身分隠しのままでは我慢できなくなった。しかも、真弓は絶対文哉との婚約を解除すると公に発表しないだろう。真弓に誰かと一緒にさせてから、彼女は不倫相手の立場がなくなり、そして、真弓が不倫したと彼女はし返すこともできると思った。

もちろん、彼女は消防士を使って真弓を中傷
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