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第22話

麻生恭弥は目を上げて彼を見た。「詩ちゃんが妊娠してるって、どうして分かるんだ?」

片瀬響人は少し苛立ったように答えた。「とにかく、自分で日数を数えてみろよ。ただの善意のアドバイスだ」

「じゃあ、心配してくれてありがとう。でも彼女は妊娠してないよ」

片瀬響人は顔を上げた。「何?」

「さっき家のゴミを片付けてたら、生理用品のパッケージが出てきたんだ」

「じゃあ、彼女は......俺を騙したってことか?」

「彼女はわざと騙したわけじゃない。ただ君が誤解して、それを説明するのが面倒だっただけだよ」麻生恭弥は言った。

「……」

「片瀬響人、過去十五年間、君は松井詩に深く愛されてきた。その愛に包まれていたから、それが当たり前になり、全く感謝していなかったんだろう。君は知らないかもしれないが、俺はどれだけ君を羨ましく思っていたか」

片瀬響人は喉が詰まるような感じがして、「......最初は俺もそう思ってなかった。すごく拒絶してたんだ。俺......」

「でも君はその試練に耐えられなかったんだろう?」

「麻生恭弥、もし君が俺の立場だったら、そんな試練に耐えられたか?俺たちは男なんだ。あの時はすごくプレッシャーがあったんだ......」

「俺は耐えられた」麻生恭弥は言った。「確かに、俺も男だから誘惑に苦しむことはある。でも、もしその一歩を踏み出したら、彼女を永遠に失うかもしれないって分かっていたら、そんなリスクは冒せないよ」

「......」

「片瀬響人、もしその時、あの女性と寝たら翌日死ぬと分かっていたら、君はどうしていた?」

「......」

「絶対にしなかったはずだ。だってそれは命に関わることだから。一時の快楽より命の方が大事だろう?怖くて、どんなに美しい女性でもお化けのように見えて逃げ出すはずだ」

「......」

「君はただ松井詩が君を愛していることに甘えて、彼女が君を離れないと思っていたから、自分を抑えずに彼女を傷つけ続けたんだ」

片瀬響人は胸に重い綿が詰まっているように感じ、呼吸がしにくくなった。

「君は感謝するべきだよ。松井詩が選んだのが俺であって、他の誰でもないことに」麻生恭弥は言った。

「俺は何を感謝するんだ?これから顔を合わせる度に、彼女が俺のいとこの妻になっているのを見るってことか?」

「それでも彼女が誰かと適当に寝
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