Semua Bab 月神守は転生の輪舞を三度舞う: Bab 1 - Bab 10

65 Bab

1.深夜のカーデートはスリリング

 闇夜に走るは1台の漆黒のスポーツカー。 そう、俺【月神 守(つきがみ まもる)】は大学の親友達と車で深夜の山中をドライブの真っ最中なんだよねー! 俺の隣の助手席に座っている女性が「わあ、夜風がひんやりとして、とても気持ちいいですね……」と、呟きこちらを見つめる。 彼女の名前は【風見 スイ(かざみ すい)】さん。 気になった俺は隣をそっとチラ見する。 するとスイさんは夜風に静かになびくセミロングの銀色の髪に手をそっと当て、サファイアのように澄んだ青い瞳でこちらを見つめ返し、ほがらかに笑っていた。 童顔を感じさせる二重の大きな瞳。それを強調させる細長い眉。彼女の小柄な体形と血色の良いもち肌。そしてふっくらとした丸みを帯びた顔と胸に俺は小動物的な癒しを感じてしまう。(それに、紺色のギャザーワンピがまた超似合っているんだよなあ)  俺はそんなことを考えつつも、「ですよねー!」と力強く返事し、ウンウンと頷き自身を納得させていた。 あ、で、話はドライブに戻るんだけど、実はこのドライブには目的があるんだ! 結論から言うと、なんと「スイさんへの告白をかねて」のドライブデート中なんだよね。 情けない話だけど、親友にお膳立てしてもらって現在に至るわけなんだけど。(いやー、ホント持つべきものは良い友……) 「風も気持ちいいけど、俺ともっと気持ちいいことしませんか? なーんつって!」 「……」 後部座席から訳の分からない言葉が聞こえ、その後静かなエンジン音が車内に響き渡るのが分る。(こ、こいつっ! まじかっ⁈ この空気、い、色々と、台無しだ)  だからか、俺の額にじんわりと変な汗が滲み出てくるのが分る。 えっとですね、今後部座席から訳の分からない人語を発した奴。 コイツが色々お膳立てしてくれた悪友の【星流 学(ほしながれ まなぶ)】。 学は御覧の通りパーソナルスペースというものは一切ないおバカ。なので、剛速球な会話を得意とし、両手を広げ土足で人の心の領域に踏み込んでくる。 体の線は細いが馬鹿力。かつ武道の実力は相当なもので空手の師範代持ちだったりするんだよね。(他人を思いやる優しい一面もあるんだけど……)  俺は深いため息をつき、カーミラー越しにそっと後部座席に座っている学を覗き見る。(こうやって改めて見ると、性格に反して顔と雰囲気は整った
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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2.魔王転生ってマジ?

「……なあ、お前なんて言うの?」 「うっ、学。ぐすっ」「お前、女みたいな容姿してるし、めそめそしてるからいじめられてるんじゃねーか」 「うっ、うっ……」 これは幼少時の俺達の記憶……? 俺はその昔の視覚情報を冷静に整理していく。(俺の隣のブランコに座っているのは小さい時の学だなこりゃ。だってちっこいし、赤い半袖Tシャツに半パンとおこちゃま仕様だしな)  この当時の学は見た目が本当に女性みたいに華奢で、喧嘩が弱く、毎日めそめそ泣いていたっけ。 対して俺は孤児院の中でも当時はガタイが良くて、要領も良かったからイジメにあうことはなかった。 というのも暗記は得意だったので動画とか見て、空手の技も学んで強くなっていたからだ。「なあ、お前。良かったら俺が喧嘩の仕方教えてやるよ?」 俺はブランコを静かに立ちこぎしながら、隣の学を見つめる。「えっ? 守君が、その……俺を守ってくれれば……」 もしもじしている学に、俺は心底呆れた。「あのな……? 例え俺がお前を守ったとする。でもさ、俺がいないところだとお前はもっといじめられるだろ? それじゃ何の解決にもならない。だからさ、その名の通り俺から喧嘩の技を学べっていってんの!」 「あ……。そっか、そうだね! へへ、守君は本当は優しいんだね……」 学のまるで女の子の様な泣き顔に少しドキリとし、俺は少し顔を赤らめてしまう。「ば、ばーか、そんなんじゃねーよ……」 こうして学は俺から喧嘩の技を教わり、次第に強くなっていく。(名前の通り学習能力が高く、色んな技を一瞬で覚えていく様に俺は旋律を覚えたんだっけ) 「よーし、今日はこれまで! 空手の型をちゃんと覚えておけよ。型を覚えて置けば、一人でも練習はできるし対人のイメージトレーニングも出来るからな!」 「うん、ありがとう守君!」 そうそう、当時学は素直な可愛らしい子だったんだよな。 それから学はどんどん強くなっていき、結果、孤児院でいじめられることはなくなった。 というか、孤児院での喧嘩は負け知らずになっていた。 そして月日が流れ、おれらが高校生の時くらいかな? 寒い雪が降る日に孤児院が謎の火事に合い、俺達はバラバラに引き取られることになってしまったんだっけ。 ま、いわゆる別れの時ってやつだな。「守、またな」 「ああ」 俺と学はお互いの拳を軽く
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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3.斥候と現状と

 それから数時間後、ここは俺の魔王部屋だ。「ま、学うー……。良かったなー無事で」 「ははっ……。お前こそ……な」 真っ赤なソファーに仲良く腰掛け、俺達はしばらく再会の会話を楽しんでいた。 この会話で分かったことだが、この世界では不思議なことにどの種族間でも言語が統一されているらしい。 早い話、ドラゴンでも、魔族でも、人でもある程度知恵があるものなら会話が可能のご様子。 うんまあ、異世界転生あるあるだし、正直便利に越したことないしどうでもいいかな。(そんな事より、この悪友が長男と言う事実が俺には一番ビックリニュースだったけどね。うんまあ、嬉しいけど) 「それはいいとしてさあ、お前一体何処いってたんだ?」 「へへっ! ファイラスまで散歩っ!」 学は両腕を元気よく左右に振り、ジェスチャーで示す。(こ、こいつ……相変わらずエネルギッシュ馬鹿だな。まあ、魔王だから、むしろそれが正常なのか)  俺はコイツがこのザイアードに転生した理由が分った気がした。「で、わざわざ敵国に何しに?」 「偵察だな。なんでもこの国に攻めてくると言う噂を聞いたんでな?」 執事に聞いた話と違い、「えっ? 停戦中じゃなかったのか?」と、目をまん丸くする俺。 俺の心情を察した執事は「マモル坊ちゃま、実はここ数日で色々状況の変化があったのでございます」と、近況を補足説明をしていく。 何でも我が国の斥候情報によると、最近『ファイラス』では数十万単位の軍隊が練兵しているんだとか。 そのためこの感じだと、少なくても数か月後にはこの国に攻めてくるとシツジイは予想している。「実際、練兵している姿を俺はこの目で見てきたぜ?」 学の言葉に「マ⁈」と、狼狽える俺。「た、大変な事になるじゃねーかそれ? その規模だと、どっちかの国が亡びるかの大戦じゃね?」(こ、これはえらいこっちゃ……)  俺は急に不安になり、その場をうろうろしてしまう。   学は執事に、「まあ、そうなるな……。なあ、シツジイ、基本人と魔族の一人当たりの戦力差は人一人の百倍と言われているよな?」と、この世界の種族間の戦力ポテンシャルを確認する。 対して執事は、「そうでございます。これは魔族の闇の魔力の強力さが理由と言われております」と、サラリと返す。  が、学が疑問に持つのも無理もない。 この国は五万の兵力を
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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4.全てを消し去る漆黒の力

 こうして驚きの連続の一日が無事終わり? 翌日の昼を迎える。 ここは俺の魔王部屋。  接客用のフカフカの赤いソファーに優雅に腰かけ、俺と学は談話の真っ最中だったりする。「……守、ここは慣れたか?」 学の鋭い問いに対し、俺は「ま、まあ、なんとかね?」と、虚勢を隠すために紅茶をすすり、それをテーブルに静かに置く。(てかさあ、正直、魔王としての立場とかまだ色々違和感はあるだよなあ)  が、悲観しても仕方がないし、慣れるしかない。 そう、こちとら幸か不幸か孤児院時代で培ったハングリー精神がある! それに現実世界で起きてる紛争とかに比べると、別に絶望的ではないしな。 見知った学もいるし、忠臣のシツジイもいる。(立場上、俺は魔王だし、なんとかなるよ。てか、俺がなんとかして見せるさ!)  そんな事を考えてる俺に守は「そうか。ところで守は転生した時に『特殊能力が使える事』に気づいているか?」と、腕組みし俺の顔を覗き見する。 俺は「え? 空飛べる以外に、まだ大それた何かが出来るの? 勿体ぶらずに、サクッと内容を教えてくれよ?」と、驚いたわけだが。 実際俺は昨日、シツジイに直接指導を受け、嬉しくって大空をガンガン飛びまくった。(へへっ、だからもう鷹とかツバメとかより早く飛べるぜ!)  なんとといっても機動力は早めに確保した方がファンタジー世界では色々便利だしね。 俺のやれることから直実に詰めていった方がいい。「流石、守ポジティブ思考だな。んと、そうだな。言葉で説明するより実際見せたほうが早いか……。てことで外に出ようぜ!」 「おう!」  てことで、俺達は漆黒の翼を大きく広げ、近くのただっ広い平地まで飛んでいくことにした。 澄んだ青空を気持ちよく飛びながら俺はふと後ろを振り返り、今飛び出したばかりのザイアード城を眺める。(うん! 壮観、壮観っ!)  城はごつごつとしたクソデカイ岩山をくり抜いて作られた、ゴシック様式の白亜の天然要塞といったところ。 その城の周りだけ漆黒の瘴気にうっすらと覆われているところがもう、なんか「ザ魔王の城」って感じだ。 だからか、俺は「なんかこの城ってさ、ドラキュラが住んでそうな雰囲気出てるよな」て、言葉が自然とでてしまう。 対して学は「ははっ、そうだな。てか俺達今、魔族だからな?」と、飛翔しながら苦笑いする始末。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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5.3人目の転生者

 それから数週間たったある日。 ここは人の国『ファイラス』の王の間、大理石の白壁に囲われたの城内である。 天井には壮大な壁画が見られ、均一に立派な硝子細工のシャンデリアが吊るされている。 床には立派な赤い絨毯が引かれ、そこに静かに整列した重曹騎士団が見守る中、一部の権力者達が会合を行っている最中であった。「お兄様方、私は他国と争うことは反対です!」 「だ、黙れっ! 王女であるお前に決定権はないし、俺達は方針を変えるつもりはないっ!」 シズク王女と王子達の口論が静かに城内に響き渡る。 『ファイラス』では現在、第一王子レッツ、第二王子ゴウ、そして第一王女のシズクの3人による統治が行われていた。 そう、雫は『ファイラス』の王女として守と同時期に転生していたのだ。 激情型である第一王子レッツはシズク王女の態度に激昂し、頭上の王冠を激しく床に叩きつけ、怒りをあらわにする。 黄金の鎧を纏っていても分かる恵まれた体格、更には獅子の如きレッツの形相に、周囲の大臣や宰相などはおろおろし、たじろぐばかりであった。「……兄上のおっしゃる通りだ。もう確定事項なんだよこれは……。お前は頭を冷やしに城外に散歩に行ってきなさい。……いい子だから、な?」 対して温和で優しい第二王子ゴウはその王冠を拾いレッツに手渡し、シズク王女をもなだめる。 「……っ、分かりました。では、失礼します……」 雫は王子達に軽く一礼し、言われるがまま静かに城外に出て行く。 雫は峠を越え城外からかなり離れた川岸に出るやいなや、周囲をキョロキョロと見回し、誰もいないことを確認し大きく深呼吸する。「レッツ王子のバッカヤロー! イノシシ武者――――――――――――っ!」 雫はそんな気持ちをぶつけるかの如く、大きく腕を振り絞り小石を川に勢いよく投げつけるのだった。 ドポンという鈍い音とともに、川に緩やかに広がっていく波紋。「あ―――――――すっきりした!」 落ち着いた雫はふと振り返り、少し小さくなったファイラス城を見
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6.4人目の転生者

 一方その頃、ここは『エルフの国エルシード』の城内の王女室。 エルシード城は雲に届くかと言わんばかりの超巨大な大木で構成されており、例外なく王女室も樹木の壁で覆われていた。 そう、スイはエルシードの第一王女として守と同時期に転生していたのだ! 彼女は王女らしく、鮮やかなオレンジ色の麻の服を身に纏い、煌びやかな宝石の腕輪を見に付け統治を行っていた。 すっかり長くなった両耳をうさぎのようにぴこぴこさせているのは、彼女が転生してエルフになった証拠だろう。 スイはブラウン色のふかふかの高級ソファーに深く腰掛け、優雅に紅茶を飲みながら考え事をしていた。 スイが転生して分かったこと。 それはこのエルシードは『過去の歴史を網羅できる巨大な図書館及び全世界の情報が一瞬で集まる国』だという事だった。 スイは木製の丸テーブルに乗っている物に目を移す。 それは丁度盆バケツくらいの大きさで、エメラルドの結晶のような不思議な植物であった。 その植物の名は『古代図書装置ユグドラ』。「……ねえ、ユグドラ。雫は今何しているの?」 「王子達ト口論ニナリ、カワデ、ストレスハッサンチュウデス。ソシテ、スイ様達ノ身ヲ案ジテオリマス」「そう、ありがとうユグドラ。ふふっ、雫も頑張っているのね……。そして優しい……」 「ドウイタシマシテ」 この『古代図書装置ユグドラ』の正体。    それは、この世界アデレの情報を全て網羅できる生きたコンピャーターみたいな存在だ。    と、話は変わるが、ここエルシードは他国と比べ軍事力は皆無であるものの、お家芸として『創造神以外の能力を断絶する結界能力』を保有している。 で、この結界の関係で他国にはユグドラの情報は知られていない。(この国ってある意味最強の鎖国国家よね……) スイは陶磁器のティーカップをテーブルに静かに置き、しみじみと思うのだ。 スイがユグドラを介しわかったこと。 それは「転生者には例外なく固有スキルを
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-16
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7.それぞれの行動と思惑と

 それから数か月後。 ここは再び人の国ファイラス城。 血相を変え、赤床の回廊をかけていく王女雫。(ファイラスの王子達が大戦のためザイアードに出兵し、監視が極端に緩んだ今しか抜け出せないないなんて……)「は、早く二人の元に行かないと! 大変な事に……!」 雫はファイラス城内から王家のみが使用できる転送装置を使い外に抜け出すことに成功していた。 その転送先はファイラスとザイアードの国境近くに配置されている古代遺跡であった。 勿論遺跡の中には誰もいない。 理由は、一部のの特権階級しか知らない秘匿情報であるからだ。 なお、雫がこんなに必死になっているのは理由があった。 雫がここ最近集めた情報によると、「大戦はこの遺跡から近い国境近くの場所で決着するシナリオ」と知ったからだ。 幸いファイラス軍が国境にたどり着くのは数日はかかる。 であるからして、雫はそれまでになんとかザイアードにいる学と守に会って、それを伝えたいのだ。 雫はぼんやりと不思議な青白い光を放つ転送装置を見つめながら、なんでも入る魔法の鞄にしまっていた魔法のスクロールを次々に取り出していく。 そこから飛び出すは、立派な1つの角を持った銀色のたてがみをなびかせ、いななく一頭のユニコーンであった。「ああっ! このままでは、学達が……。急いでお願いね? ユニコーン……」 雫は逸る気持ちを抑えきれず、ユニコーンに急いでまたがり、覆ったものの姿を消す魔法のマントを羽織った後『ザイアード』の城に向かい電光石火の如く爆走していくのだった。   ♢ 一方その同時刻、守達がいるザイアードにファイラスからの文書が届いていた。「な、なんだとっ! あの馬鹿人間の王子どもっ! く、くそっ!」 学は文書を見るやいなや、血相を変その文書を力いっぱい床に叩きつけ、急いで城外へ飛び出していった。 守はそ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-17
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8.代償の血潮

 それから数時間後、学は腕を組み1人静かに佇んでいた。 晴天の最中、まっ平の草原にまばらに散見される木々や岩々……。 ザイアードとファイラスの国境近くのこの場所は、戦闘するにはもってこいの場所であった。 学が佇むその場所に向け、砂埃を上げながらこちらに進んで来る馬上に跨った大軍が見えてくる。(……ざっと見ただけでも万はいるな)  学は仁王立ちしながら静かにその様子を見守る。 その学の右手には金属製の赤黒い小手が装着されており、それは鈍く怪しい輝きを放っていた。(予想より早い! 軍馬の移動だと数日はかかる計算。ということはこの尋常じゃない移動スピードは『集団の空間転移魔法』。となると今回の件、裏にエルシードが絡んでると予想されるな) そんな事を考えている学の前に、砂塵を上げて進む大軍の中から一人軍馬にまたがり颯爽と学の目の前に姿を現す者がいた。「俺はファイラスの第一王子レッツである! 貴様が魔族の王か?」 輝く黄金の鎧に身に纏った屈強な男……。 それはファイラスの第一王子レッツだった。 学はレッツのその話を聞き、魔族を見下している感が理解出来た。(そもそも、あいつの同盟の文書の返答がこれだしな……)「……レッツよ確認するが、ザイアードとの同盟は考えてないのだな?」 学は無駄とは分かっていても、守との約束を考え律儀に確認することにした。「はっ、断る! 確かに同盟の文書が届いていたが、どうせ姦計を計って我らを皆殺しにする予定だったのだろう?」 レッツのその失言に対し、ファイラスの私兵は呼応するように魔族達に対する侮蔑の言葉を吐き嘲笑していく。「な、なんだとっ!」 学はファイラス軍のその態度に激昂し、自身の髪が逆立つのが理解出来た。 幼き頃から兄弟同然に育った守に対し、侮蔑としか思えない言葉を述べたのだから当然と言えば当然だろう。「あいつがどんな気持ちで文書を書いたか知らないくせに、よくもぬけぬけと! あいつがその気になればお前達なんぞ、正攻法で数回は皆殺しに出来る魔力を持っているというのに、お前達と来たら。まあいい、死んであいつに詫びろっ!」 学は瞬時に話の通じない相手と見切りをつけ、戦闘態勢を取っていく。 学は全身の闇の魔力を徐々に右手に全集中させていく。 魔王であり、転生者である学が使える『闇の魔力を物理攻撃に上乗せする
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-18
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9.血の涙と共に

「え? 貴方もしかして、スイ……?」 「ええっ?」(ま、まじ? このエ〇フもとい、エルフの女王らしき人ってあのスイさんなのか……? それにそうだとしたら何故彼女が此処に……?)  煌びやかな青のドレスを身に纏ったエルフの統治者らしき人物。 よく見ると確かにスイさんに瓜二つだった。 当然再び会えた嬉しさもあった。 が、何故スイさんがファイラス残党兵と共闘しているのかなどの疑問もあった。「……スイさんは何故此処に? そ、それにさっきの話は……?」 「ごめんなさい、挨拶がまだだったわ、お久しぶりね? そして時間が勿体ないから担当直入に聞くわね。貴方達『Fプロジェクト』って知ってる?」「……知らないな?」 俺はあまりにも自分勝手すぎるスイさんの物言いに警戒し、言葉を慎重に選ぶ。(時間が無いからだって? ふ、ふざけるなよ! 学や沢山の人が目の前で死んでるんだぞ! それに『Fプロジェクト』? なんだそれ?)「やっぱ知らないか。……じゃ、別の質問。学さんが人造人間だということは?」 「……は?」(スイさんはさっきからなにを言っているんだ?)  正直俺にはさっきから彼女が言っている意味が全く分からなかった。 分かっている事は逆にスイさんは俺達の様子を見て、何やら色々確認作業している事。「はあ、ホントに何も知らなかったみたいね……。学さんは貴方を護衛するために『Fプロジェクト』で作られた人造人間なのよ?」 「え、仮にそれが本当だとしたら女性型のってこと?」 雫さんはスイさんによくわからない質問をするっ……て⁉「えっ、え? さっきからホント何の話?」 俺は訳が分からなくなり、思わずそれが言葉に出てしまう。 色々確認したいことが多いが、何事にも優先順序ってものがある。 と、とりあえず学がおっぱ……じゃなくて女性かどうか確認したい。「あ、あの、も、もしかして、あの時に雫さんが学と車で喧嘩した理由って……」 「そ、俺は女性って言われ触って確認したのよね……。見事に胸にサラシを巻いていたわ」(な、成程……。あの時、後部座席で雫さん達がボディタッチしてイチャこらしていたように見えたのは……その確認作業ってことか) 「いやいや、喉と声で普通一発でわかるでしょ」 スイさんからとっても鋭い突込みが入る。(た、確かに……でも)「いや、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-23
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10.虹色の彗星となって

 ふと周囲を見渡すと、手に持った『天罰の涙』のように太陽は染まり沈みかけていた……。 真っ赤に染まった空と雲をぼんやりと見つめながら、俺達は失意のままユニコーンに跨り、近くにある遺跡へと向かう。 俺は背に担いだ動かくなった学のまだ温かい体温を感じ、思い出したかのように嗚咽を漏らす。 俺の後ろの雫さんも然りで、俺はいたたまれない気持ちになってしまう。 程なくし、目的地の遺跡に辿り着く俺達。 周囲はすっかり闇夜に染まり、昴が輝く星空の中、無数の流れ星が流れていくのが見える。 それはまるで、学や散って行った沢山の命が形になって流れているように俺には見えて……。 だけど不思議な事に、学が死んだこと以外あまり悲しいと感じない俺がいる。(もしかしたらこれが「この世界で魔王に転生した副作用」なのか……?)  魔に染まるとはこのことを指すのではと、俺は自身の立場をしみじみと実感してしまうのだ。「ここよ……」 悲しい気持ちでいっぱいの雫さんの言葉は暗く重い。 俺も無言で頷き、ユニコーンから下馬する。 正直俺も気持ちの整理が全然追いついていない。 でも、もしかしたらという気持ちで俺達は遺跡に来ており、期待に満ちた瞳でそれを見つめていた。 蛍光ゴケの関係かボンヤリと明るく輝いているそれ……。 まるでかまくらの大きさの様な岩肌の入り口から、俺達は地下への階段を無言で降りていく。    しばらく奥に進んでいくと、周囲が光輝く紫水晶で出来ている不思議な部屋にたどり着く。「綺麗だ……」 「そうね……。それにヒンヤリして独特の雰囲気があるよね」 実際に神秘的な雰囲気ではあったが、先程の事で俺達の心は沈んでいたし、だからこそ素直に感動できずにいた。 だからか雫さんも俺も、口数が少なかったんだろうと思う。 ……無言で進んでいくと、等身大の像が見えて来る。 よく見るとその像は紫水晶で出来た女姓の像であった。「大きく広げた両手と折りたたんだ6枚羽、更には整った凛々しいお顔……。これってまさか?」  「そう、これが女神アデレの像よ」 俺の隣で「そうだ」と言わんばかりに静かに頷く雫さん。 雫さんは緊張のためか、その声は震えていた。(ん? この女神像の顔、なんか見たことがあるような……?) ふとそんな事を考えつつも、前方に何か見えるものに注視す
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-23
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