Semua Bab 月神守は転生の輪舞を三度舞う: Bab 41 - Bab 48

48 Bab

41.ノジャお手柄なのじゃっ!

 それから数分後……。 俺達はギールの資料とウィンディーニの魔導知識を元に話しを詰めていく事になった。  「なるほど、ルモール森林全土には『封魔の炎龍石』を使った魔法陣をしかけられそうですが……」 「え? 何か問題があるの?」「森林の地下トンネルに配置する分が全く足りません……」「仕方ない、ではこれで足りるのでは?」 ギールは一番下に置いていた、とっておきと思われる資料をウィンディーニに手渡す。「ああ、これなら地下トンネル分も余裕で足りますね! 余った分で数十人の鎧加工分も作れるでしょう。あの、それはさておき、この資料は私は見たことが無かったのですが?」「最近、ようやく火山上部で発掘出来る環境になり、未開拓であった関係で大量に発掘出来たものだからですな」 ギールは咳払いしながら、俺をチラリ見している。(ああ、例のやつね……。まあ、役に立って何よりだったよ) 俺はそんな事を考えながら思わず苦笑する。「んんっ! ……守様はこのピンポン玉くらいの大きさの『封魔の炎龍石』の価値を知っておいでですか?」 ギールはそんな俺の態度を見て、俺を厳しい目つきで睨む。(う、うわあ? や、やっべ、俺、地雷踏んだかも……?) 「い、いや?」 「分かりやすくこの『封魔の炎龍石』の価値を説明させていただますね。これ一つでだいたい人家10件分の価値があります……。何故そんなに高値で売れるかと言うと、『エルシード』の連中が価値を見出し、大人買いしていくのですよ……」「お、おう……」(そ、それはギールが出し渋るのもシカタナイデスヨネ……?)  俺はギールの言葉の重みを感じ、額に変な汗が流れて来るのを自身で感じ取る。「この
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-20
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42.ウィンディーニ?

 俺はそんな事を考えながらそっとため息を吐き、会議室から1人席を外し、そのまま自室に直行する。 俺は注意深く周囲を見て誰もいない事を確認し、机に腰かけゆっくりと背伸びをし、足腰を伸ばす。 俺が一人でここに来たのには深い理由があった。 それは休憩もだけど、ガウスから手渡された封書の内容を誰にも見せられないためだったりする。(ガウスは剣の腕と仕事の内容に関しては嘘をつかないからね……)  俺は中身が傷つかないようにペーパーナイフで丁寧に封書の封を切り、その内容に目を通していく。(ん? 誰からだと思えばウィンディーニから? あの場で伝えたいことを言えばとは思ったけど、あの天才児のことだから何か理由があるだろう。どれどれ……?) 「……え、これマジなん? じ、じゃあ学達のあの行動は……?」  ……俺は書かれていた内容に驚愕し、思わず独り言を呟いてしまった。(しっかし、ウィンデーニ、本物の天才なのかも)  ……それから俺は色々な用事を済ませ、再び会議室にこっそり戻る。 部屋に入るなり、雫さん達が俺の周りに集まってくる。「あっ、守君! 今、学達と話してね、急遽アグール火山に行くことになったから!」 雫さん達は嬉しそうにきゃいきゃいとはしゃいでいますが?(こ、この感じ、帰りはまた温泉宿泊コースかもしれんな。嫌いじゃないけどねっ!)  俺は温泉内のピンクイベントを思い出し、もっこ……もといにっこりと微笑む。「守様! あのっ! 自分も火山に同行することになりましたので、よろしくお願いいたします!」 ウィンディーニは元気よく俺にペコリとお辞儀をする。「彼には私の代理で現場視察に行ってもらうことになりましたので、守様よろしくお願いいたしますね」 ギールは俺にそう述べ、軽く一礼する。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-21
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43.バカ試合

 今回、ドラゴン化した学の背に俺、雫さん、ウィンディーニが乗り込む。 ちなみにノジャの背には『封魔の炎龍石』を積み込むための大袋等が載せてある。「……じ、じゃあいくぞ……?」「は、はい……」 ウィンディーニは鞍に跨りプルプルと振えているが……。 なんというかその色々面白い。 そして、エンシェントフレイム化した学が力強く大空に舞い上がり、ノジャもその後を追う。「ひ、ひえええ……」 ウィンデーニは情けなく悲鳴を上げていたが……。「ぷふっ……」 その様子を後方で見ていた雫さんが思わず吹き出している。(こ、コラコラ、笑っちゃ失礼だろ? ほ、本人は真剣なんだから……!)  とか思いながら、申し訳ないが俺も爆笑していたりする。 俺は雫さんや学が余計な事を言う前に、適当な話題を振る事にする。「あ、そういえばウィンディーニって、その名前の由来、もしかして水の精霊に関係してたりする?」  とか考えていたら、雫さんは機転をきかし話題を振ってくれた。「そうですね……。うちの家系は代々、水の精霊と仲が良いので何かしら水属性の名前を付けるしきたりがありまして。ちなみにうちの父はアイスバードといいます」「へーそうなんだ! じゃあ……」 そんな雑談を続けてから数時間後……。 例の温泉宿から少し離れた僻地に、ウィンデーニの知人が住んでいるというので寄ることになった。「へー、こんなとこに小屋があるなんて知らなかったなあ……」(ファイラスの地理に詳しい雫さんでも知らない場所か、正にだな) 「ええ、自分とギール様しか知らない秘密の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-22
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44.裸の付き合い?

 そんなこんなで数時間後、俺達は前に来たことある例の『秘湯の温泉宿』に来ていた。 「あー、久々の温泉は気持ちいいな……」 俺はお湯をゆるりと手ですくい、ゆっくりと顔を洗う。 リラックス出来た関係か、嗅覚が鋭くなり硫黄臭を強く感じる。(逆にそんなところが温泉地に来た雰囲気が味わえていいんだけどね……)  まだお昼であるし、太陽が昇っている関係で当然周囲は明るく少し離れた山々の深緑がくっきりと見え、空気が余計美味しく感じられる。 太陽の反射光を浴びたお湯は輝いておりとても眩しい。(こんな時間にゆっくり浸かれるのはホント贅沢極まりないよな……)  「失礼しまーす!」「し、失礼します……」 複数の声の主が俺が浸っている湯舟に近づいて来るのが分る。 (きたきた学と雫さん達だ……!)  今回は二人ともタオルを羽織っている状態ではあるが?「こっ、こら押すな雫!」「え? だってこうでもしないと学は照れちゃって先に進めないでしょ?」 お2人がきゃいきゃい言いながら少しずつ近づいて来る。 顔を真っ赤にし、もじもじと照れながら、雫さんに背中をグイ押しされながら近づいて来る学。 太陽の逆光で眩く輝く、もち肌のうら若き女性達……。(こいつぁー、たまりましぇん……)  タオルに半分ほど隠された白桃のような艶やかな胸は、そのボリュームの余り窮屈なタオルに逆らうかの如く食い込みが発生している状態だ。(……こ、今年の果物は豊作かな……?)  何故かそんな言葉が脳裏をよぎる。 不思議、止まらない……⁉ そして、そのサイズの大きい白桃は学が歩く振
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-23
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45.2人の思いと誓い

「あ゛――――――――――――――――――⁈」 と、同時に湯船の中で学の絶叫が静かにこだまする……。 そ、そのお陰で俺は現状を視認出来た。 夢見心地の中、そっと雫さんの唇は離れていく。 更には再び俺の肩に自身の頭をそっと置く雫さん。 だからか、否応が無く先程の唇の感覚が俺の脳裏に鮮明に蘇って来る! 「あ、あの……? 雫さん?」「えへへ、その言葉ずっと待ってたんだ……」 雫さんは顔を真っ赤にしながら、少し照れくさそうはにかむ……。 俺もそれにつられて顔が真っ赤になるんですが? 「あ……」(よく考えたら、今さっきの俺の言葉、ほとんど告白じゃねーか……!) 「えっ、え゛っぐ……う、うっうっ……」(ううっ、い、嫌な予感がする……)  当然、嗚咽を漏らしていたのは学だったが……。「ま、ま、学さん……?」 俺はもう訳が分からず思わずさん付けをしてしまうくらい狼狽えてしまっていた。「雫が雫が、守のファーストキスを取った―――! 俺なんか幼いころから好きだったのに、告白しようとして断られたのに―――!」 学は俺の肩に突っ伏し、号泣しだす始末! その俺の肩には涙やら、鼻水やら、何やら生暖かい液体がポタポタと流れ落ちてますが? うん、その一滴一滴が何やら重い、いや思い? 俺は孤児院時代の幼い頃の記憶を思い出し、友達認定して別れた頃を思い出していた……。(あ、ああ、あれはそう言う事だったのか……! いや、だってねえ? ホラ? 昔は男みたいだったじゃん? あ、でも、今
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-24
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46.良き臣下とその助言

 数十分ほど走り終えた後、今度は腰に下げている剣を抜き、俺の目線程の高さ以上ある枯れた大木目掛けて突きの練習をしていく。「ふっ!」 呼吸とも気合とも取れる声と共に、右手をピンと真っすぐに伸ばす俺。 一回一回丁寧にしかも鋭く早い突きを繰り出し、大木を突いていく。「朝から精が出ますな守様……?」「ッ!」 背後から聞こえる声に俺は驚き、振り向く。 するとなんと、ガウスがそこに立っていた。「な、なんだ、ガ、ガウスかビックリさせるなよ……」「はっはっはっ、申し訳ございません守様……。相手が雫様と学様ならもっと驚きましたか……?」(うっ! こ、コイツ、まさか……?)  「……な、何の話?」 俺は内心では思いっきり動揺していたが、冷静を装い一心不乱に大木を突いていく。「守様……。どうでもいいですが剣筋が乱れておりますぞ?」「なっ?」 よく見ると、確かに俺の剣は大木の真ん中から極端に離れた場所を突いていた。「何やら注意力散漫ですが、ナニがあったんでしょうなあ?」(こ、コイツ……? 昨日の事を知っているのか? それとも……?)  俺は訓練を中断し、ガウスと向き合う事にする。「……なあガウス、せっかくだし、ちょっと剣の相手をしてくれよ?」「ほお? やる気があるのは良いことですし、いいでしょう……」 ガウスは腰に下げている練習用の模擬剣を構え、更にはもう一本の模擬剣を俺に投げる。 軽くキャッチし、模擬剣を胸元に構える俺。 よく見るとガウスも同じように模擬剣構え、その丸くなった切っ先がこちらに見える。「では、行きますぞ?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-25
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47.ウンディーニの策

 それから時は流れ、翌日の朝。 色々と気持ちを清算し終えた俺達はザイアード軍との戦いの準備を進めて行く関係で、ファイラス城下町にある『工房ゴリ』に来ていた。 ちなみにノジャはその機動力と運送力を重臣達に買われ、別件で働いてもらっている。  魔石発掘への功績もあり、ギールの奴と仲がいいというのが大きな理由ではある。「学様方! 頼まれていた鎧に魔石の仕込み終わりやしたぜ!」 スチームパンク臭が漂う工房にてゴリさんの雄たけび、もとい大声が響き渡る。「うん! ありがとうな、ゴリさん!」 俺達はその場で軽く飛び跳ねたり腰を捻ったりして、鎧の動きやすさや性能などを吟味していく。 飛び跳ねるたびに、カチャカチャと鎧の軽い金属音が工房に響き渡る。(うおお、すげえ! この鎧、麻の服並みに軽くて動きやすい!) 「ゴリさん、相変わらずいい仕事するねえ! てかこれ、一体何の素材を使っているんだ?」 学も思わずその性能に感嘆の声を上げる。「へへ、照れやすねえ……! それらは軽めのドラグニウム鉱で作った特注品、その名も『ドラゴニウムの鎧』! 龍の体液から作られた『封魔の炎龍石』と相性がいいんでさあ!」 ゴリさんは、「ウホホー!」と叫びながら、自分の胸を激しくドムドムと叩きだす。(出た! ゴリさんのテンションが上がると行う『歓喜のドラミング』だ!)  ホントいい人? だな、ゴリさんと工房の皆さん。  そんなゴリさん達が総力を挙げて仕上げたこの『ドラゴニウムの鎧』。 こいつはきっと魔王スカード達との戦闘でも、その性能を遺憾なく発揮してくれることだろう。「雫様! 例のアクセサリー一式も完成してやすぜ!」「わあ、素敵! サンキューゴリさん!」「へへ、どういたしやして!」「はいこれ、学の分!」「おお? センキュー雫!」 照れながらもアクセサリー一式を付けていく学。「うん、似合う似合う!」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-26
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48.開戦

(……て、ことがあったよなあ……) 俺はしこたまワインを飲んだ後、自室のベッドに横たわり、これまでの苦労や楽しい思いでを思い出していたのだった。 そんな祝杯を挙げた日から月日はあっという間に過ぎ、ここはファイラス城下町から数キロ離れた草原……。 そよ風が爽やかに吹く中、ファイラスの万を超す大軍がその草原を埋め尽くす! 銀色の鎧に身を固めた騎馬兵を始め、槍を構えた歩兵、弓兵、魔導兵などファイラス自慢の精兵が各兵将の指示に従い陣を引き待機しているのが分る。「き、来ましたっ! 魔王スカード率いるザイアードの一軍ですっ!」 ファイラスの伝令兵が大声を上げ、周りの兵は大いにざわつく。「来たか……!」 俺達はそれぞれ剣を抜き、臨戦態勢に入る。「ま、守様っ! ま、魔王スカードが先頭に立って行軍してきます!」「……陣は?」「こ、これは『偃月の陣』です!」「な、何だとっ!」「ひ、ひぃっ……!」 伝令兵の回答にファイラス自軍から、再びどよめきが上がる……。(はは、いけいけのスカードらしいな……)  『偃月の陣』、この陣の特徴は大将を中心とした精鋭部隊を先頭に立たせることで指揮が向上し、突破力も向上する超攻撃型の陣である。 いわゆる『やられる前にやれ』という魔王スカードの考えだろうし、これ以上自軍に被害が出ないように警戒して行動している結果と俺は読んでいる。(さて、対してガウスはどんな対応をするのかな?) 「……陣を方円の陣から魚鱗の陣へ組みなおせ!」 ガウスの気合の入った大声が響き渡り、『魚鱗の陣』へ我がファイラス軍は変化していく! 兵の鍛錬を毎日欠かさず行っていたことから、ファイラスの兵達は滑らかな動
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-27
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