私は興奮していた。でも、潤んだ瞳にはわずかな恐慌が浮かび、手を伸ばして拓真の手を押し返す。「榊さん、奥さんがいらっしゃっています。あなたの手......」その言葉で、彼は自分の手がまだ私の服の中にあることを思い出し、私の胸を掴んでいたことに気づいた。彼はすぐに手を引っ込め、「すまない、人違いだ」と謝った。「雪村さん、もう帰っていい」彼は私を追い出そうとしたが、私は彼の手首を掴んだ。驚いた顔で、「奥さんは独占欲が強い方です。彼女は他の女性が榊さんに近づくことを許しません。私が今ここを出たら、きっと誤解されます。榊さん、どうしましょう?私、死にたくありません!」「死」という言葉が拓真の何かを刺激したようで、彼の表情は途端に苦しみに満ちたものに変わった。「カチャ」ドアが開いた音がした。由美子が部屋に入ってきた。拓真が酔っ払っていると聞き、彼女は何かチャンスがあると考えたのだろう。入念に身支度を整えてきたようだ。お風呂から上がったばかりの彼女は、セクシーな波打つ髪を肩に垂らし、ピタリとしたスリップドレスが体の曲線を美しく強調していた。彼女は唇を上げ、媚びるように微笑んだ。「あなた、酔っ払ったと聞いたわ。大丈夫?」由美子の目に映ったのは、ベッドの上で頭を抱え、横たわる拓真だった。彼の下半身は薄いブランケットに覆われている。でも、彼女は私がどこにいるか気づくことはできなかっただろう。私はさっき、急いでベッドに飛び込み、拓真の背後に身を潜め、彼と一緒にブランケットをかぶったのだ。しかし、私の隠れるスペースはとても狭かった。彼にぴったりと体を寄せるしかなく、艶やかな唇は彼の敏感な腰のあたりに当たっていた。私の温かい息が薄い布地越しに、彼の肌をそっと撫でる。まるで小さな子猫が戯れるように。その瞬間、彼の体が緊張して硬直するのを感じた。低い声で、「問題ない、君は先に出て行け」と言った。その言葉を聞いた途端、由美子は涙目になり、悔しそうに唇を噛んだ。「あなた、本当に私にそんなに冷たくしなければいけないの?」「奥さんという立場はもう与えた。まだ何が足りない?」拓真は冷淡に言った。「人間、欲張りすぎてはいけない」「私が欲張りだって?」由美子は突然声を張り上げ、感情が爆発した。冷たい仕打ちには限界が
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