しばらくして、峻介が頻繁に里美に対して公然と愛を表現しているニュースが流れた。静子が去年引き取った14歳の養女がそのニュースを見たことで、彼女は峻介が記憶を失っていることを初めて知った。優子が植物状態になっていたことも。周囲の人は2年間も峻介に優子のことを一切話さず、写真さえも全部燃やしてしまったことを知った。静子はあまり学がなく、霧ヶ峰市に来るのもやっとのことで、写真で優子を助けようと思っただけだった。彼女には人を傷つけるつもりなど全くなかった。「分かってる、静子さん」優子は静かに慰めた。「怖がらないで。警察は無実の人を無理に罪に問いたりしないから。まずは病院に行って、怪我した人の様子を見た後にあなたをどうにかしてここから出す方法を考えるから」「優ちゃん、私、あなたに迷惑をかけてるのかしら?」静子は泣きながら言った。「ごめんね、優ちゃん。助けるつもりだったのに。迷惑をかけるつもりなんてなかったのに!高橋家があなたを害するんじゃないかって、あなたの本当のお母さんを見つけ出すんじゃないかって心配しただけの!でも、私、何をやってもいつもダメで……」「そんなことない!」優子は首を振り、静子の手をしっかりと握った。「静子さん、怖がらないで。私がいるから」悠斗は黙って優子の後ろについて行き、警察署を出たところでようやく口を開いた。「高橋家が番組に出るって話、森本家に伝えた方がいいんじゃないか?それが無理なら……森本叔父さんには話した方がいいだろう」悠斗が言った「森本叔父さん」とは進のことだった。優子が無言で携帯をいじっていたのを見て、悠斗は彼女が桜峰市の森本家が進と原生家族の親戚との関係があると知れば、進に不満を持つのではないかと心配しているのだと勘違いし、彼女を説得しようとした。「森本叔父さんに頼んで彼のキャリアに影響を与えるんじゃないかって心配するのは分かるけど、高橋家の人たちが番組に出たら、君たちの関係がより露見しやすくなるんだぞ!今や森本叔父さんはグループを掌握しているんだ。彼が一言言えば、その番組を放送しないようにすることもできる」《家族探しの記録》という番組は視聴率が高く、霧ヶ峰市テレビ局の看板番組の一つだった。番組の司会者は、現在人気のあるトークショーコメディアンの筒井剣夜だった。剣夜は深いバックグラウンドも持っていた
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