「歩美は火傷したんじゃなかった?」「事故が起きたその日に見舞いに行ったけど、大したことはなかった。」「そうか。」あの時大和がとても心配していた様子に見えたのはなぜだろう?「今問題ないみたいだから、一緒に行かない?」「それはちょっと…。」歩美の誕生日パーティーには、山口清次も来るに違いない。由佳は今、彼に会いたくなかった。「何か問題かな?招待状にはパートナーを連れてきていいって書いてあるし、山口清次はあなたの兄だよ。歩美は将来おそらく義姉になるし、行くのは当然のことじゃない?あの記者会見の時みたいに、逃げ回るとメディアはますます勝手なことを書くよ。堂々とした方が変なことを書かれないよ。」由佳は目を伏せ、唇をかみしめた。総峰は彼女を一瞥し、話を続けた。「聞いた話だと、今回の歩美の誕生日パーティーは、山口清次がかなりお金をかけたらしい。会場の装飾を国際的に有名なデザイナーに依頼していて、ドレスは限定版で、特別に空輸してきたとか。しかも、バースデーケーキも国際的なシュガーアートのマスターに依頼しているらしい。滅多に見られないものばかりだよ、本当に行かないの?」総峰の話を聞きながら、由佳の目はますます暗くなった。彼は歩美に本当に心を込めているんだ。この誕生日パーティーは、きっとずっと前から準備していたのだろう。歩美は9月20日に山口清次を引き寄せることに成功し、彼女だけのために誕生日パーティーを開いてもらって、とても嬉しかったに違いない。由佳は、この誕生日パーティーに行けば、歩美がきっと不機嫌になると知っていた。「分かったわ、一緒に行く。」飛行機を降りた後、二人は簡単にスタイリングを済ませ、直接パーティーに向かった。歩美は最近帰国したばかりで、接触した芸能人は限られていたため、招待客は少なかった。招待客は彼女が以前出演したバラエティ番組のゲストや、雲水城のスタッフが中心だった。パーティー会場に入ると、豪華な装飾が目に飛び込んできた。まるで豪華な城のようで、すべてがとても精巧で豪華だった。誰が見ても、山口清次の気持ちがよく伝わってきた。まったく欠点がないほど完璧だった。由佳は心の準備をしていたが、それでも心が少し痛んだ。この特別な気持ちは歩美だけに向けたものだった。かつて、由佳もまた、二人が盛大な結
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