正昭は優子の件で一日中あちこち奔走していた。ついにある極秘情報を入手した。助手が瓶を手にして近づいてきた。「植野先生、これは佐藤夫人から送られてきたものです。これが何のキャットフードか調べてほしいそうです」「キャットフード?」正昭は瓶を一瞥した。こんなに小さな瓶にキャットフードを入れるなんて無理だろう。どんな猫がこんな小食だというのだろう?「もしかすると補助食品か何かかもしれません。先方も判断できず、調査を依頼してきたようです」「わかった、そこに置いておいてくれ。後で調べる。今は大事な用があるんだ」「了解しました」正昭は急いでその場を離れ、やつれた様子の峻介のもとへ向かった。「佐藤社長、最新の情報です。悠人のチームはずっと癌治療の研究を続けていました。その前に新しいタイプの抗癌薬を開発しており、この2年間で100人以上の患者が服用していました。ただ、まだ第1相の臨床試験しか行われておらず、データサンプルが不足しています」「その100人の治療効果はどうなんだ?」「2年からほぼ3年の間に、I期からIII期の患者は安定した状態を保っており、癌の数値も正常範囲に達しています」峻介は緊張した表情を浮かべた。「では、末期の患者は?」「末期の患者の生存率は今のところ50%です。生存している方が半分、すでに亡くなった方が半分です。それに、癌の5年生存率も考慮すると、現時点では最長で3年に達していないので、データはまだ不確かです。確かなのは、中期、後期の患者には非常に効果的であることです。末期の場合は......」峻介の目から光が消えかけたのを見て、正昭はすぐに付け加えた。「佐藤社長、失望するのはまだ早いです。現状で、末期の患者が3年も生き延びられる薬は他にありません。50%以上の末期患者が3年以上生存するというのはすごいことです。この薬さえ手に入れば、奥様の寿命を延ばせるはずですし、副作用も放射線や化学療法ほど大きくありません」「毒虫組織内で手に入れることはできるのか?」峻介は少し希望を持った。「僕が得た情報によると、かつてあった薬は前回彼らが拠点を移転する際に全て破棄されており、配合は悠人の手元にしかありません。彼がいなくなってからは、この薬もなくなりました」峻介は考え込んだ。「いや、試薬者たちを見つけ出して、彼らからこの薬
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