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第 0361 話

綿は会場に入ると、全員がマスクを着けているのが目に入った。

雅彦と目を合わせた二人は、今日ここに来たのはオークションに参加するためであり、このような社交には興味がなかった。

綿と雅彦は隅の目立たない場所に行き、長い30分を過ごす準備をした。

その時、外から「ルイス!」という声が聞こえた。

綿は酒杯を揺らしながら、淡々とした目で外を見た。全員がマスクをつけている中、ルイスだけはマスクをつけていなかった。

「彼はどうしてマスクをつけていないの?」綿がそう尋ねた途端、担当者がルイスにマスクを渡し、ルイスはすぐにそれを着けた。

その時、綿はルイスの隣にもう一人男性がいることに気づいた。

その男性はスーツを着ており、背が高く引き締まった体型で、横顔だけで彼が非常に優れた容姿を持っていることが分かった。

綿は目を細めた。そのマスクは顔の半分を隠しており、一瞬誰だか分からなかった。

その男性は綿の視線に気づき、突然こちらを見てきた。

二人の視線が空中で交差し、綿は一瞬動きを止めた。

男性は片手をポケットに入れ、もう片方の手でウェイターから渡されたシャンパンを受け取りながら、綿を見つめ、少し眉をひそめた。

綿は唇を引き結び、手に持っていたグラスをぎゅっと握りしめた。

この男……彼はもしかして輝明?

綿は慌てて目をそらした。

ルイスが彼に声をかけたため、彼も思考を戻した。

「雅彦」綿は突然雅彦に声をかけた。

雅彦は頷いた。「どうしたか?」

「コートを貸して」綿は言った。

雅彦は理由は分からなかったが、素直にコートを綿に渡した。

綿は雅彦のコートを肩にかけ、背中の蝶のタトゥーを隠そうとした。

もし本当に彼が輝明なら、彼に自分だと気づかれたくなかったからだ。

「ボス、ちょっと電話に出てきた」雅彦は綿に言った。

綿は頷き、雅彦が外に出ていくのを見送った。

綿が今日着けているマスクは全顔マスクで、小さな狐のようなデザインで、とても美しい。

そのせいか、綿はすぐに他の男性たちの注意を引くことになった。

雅彦が去った直後、一人の男性が近づいてきた。

その男性は英語で綿に挨拶をした。

綿は英語が理解できたが、他人のナンパを受け入れたくなかったので、「私はM国の人じゃないので、英語は分かりません。本当にごめんなさい」と笑顔で答えた。

男性は
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