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第 0364 話

雅彦が笑って「確かに」と言った。

同時に、綿の向かいに座っている男が頭を傾け、突然くしゃみをした。

隣にいた人がすぐにティッシュを差し出した。

「皆様、ご着席ください。今夜のオークションが正式に始まります」

ロボットがすぐに綿のそばにやって来た。

翡翠のブレスレットは、写真よりもずっと美しかった。

その色合いに綿は心を奪われた。

しかし、今夜は資金が制限されているため、これを落札して母にプレゼントすることはできなかった。

最初の出品に、綿は頬杖をついて観戦していた。

ほとんどの男性は女伴と一緒にオークションに参加しており、このブレスレットにも入札をしていた。

すぐに、価格は2億Mドルに達した。

綿は心の中で思った。この価格が上限だろう。物の価値が分かる人なら、これで終わるはずだ。これ以上入札すると損になる。

確かに、皆は価値を理解していたようで、最終的に2億で落札された。

「続いて二番目の出品です」

この商品も非常に人気があった。何といっても大統領夫人が寄付したネックレスだからだ。

実物が大画面に映し出され、綿はそのネックレスを見て突然心が止まった。

商品紹介を見たときはそれほど気にしなかったが、今この瞬間、なぜか心が惹かれていた。

そのネックレスは蝶をデザインしたもので、吊り下げられた蝶のペンダントは誰でも見たことがあるような一般的なデザインだったが、ネックレス全体の各リンクが蝶のデザインでつながっているという点が非常にユニークだった。

これは、このデザイナーが自分の作品に対して非常に独創的な考えを持っていることを示している。

さらに、綿は元々ネックレスに対して非常に強い興味を持っていた。

「いいなあ」雅彦が感慨深げに言った。

綿は雅彦を見つめた。

雅彦も綿を見つめ返し、笑った。「ボス、欲しいんじゃない?」

綿はためらわずにうなずいた。確かに欲しい。

だが、今夜の目的は祖父のために柏花草を手に入れることだった。

どれほど欲しくても、心に留めておくしかない。

今日は資金が不足しているからだ。

「まあ、遊びで入札してみてもいいんじゃない?」雅彦が綿に言った。

綿は首を振った。やめておこう。

入札しているうちに、自分の手に落ちてしまったら、後で泣くことになる。

すぐに場内では価格の競り合いが始まった。

ロボッ
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