第 0372 話

輝明が彼女に売ってくれる気さえあれば、いくらでも払う。

「まずはご飯を食べよう」彼は車を降りた。

綿：「……」

彼女は車を降りず、輝明を見ていた。

輝明は車の外から彼女を見つめ、「ネックレス、いらないのか？」と聞いた。

綿：「……」

クソ、このネックレスが彼の手に渡ったなんて。

これでは完全に彼に握られてしまったではないか？

ぐるる——

お腹が確かに空いていた。

綿は思った、食べないのは損だ。

綿はレストランに入り、雅彦に位置情報を送り、「食べに来い。ご馳走してくれる太っ腹がいるぞ」と伝えた。

輝明は綿を個室に連れて行った。

綿はニュースを見ていた。ルイスが通報するかどうかは分からない。

食事が終わったら、できるだけ早く帰国しよう。帰国すれば何も心配はいらない！

「彼は通報しないよ。安心して食べな」輝明はメニューを見ながら突然こう言った。

綿は驚いた。

彼はどうして彼女が何を考えているか分かったのか？

彼は何も言わず、メニューを見続け、店のおすすめ料理をいくつか選んだ。

綿は輝明をじっと見つめた。彼も頭を上げて、平静な目で綿を睨んだ。「どうした？」

綿は唇を動かし、何かを聞こうとしたが、最後に沈黙し、「私にも二人前頼んで」とだけ言った。

彼女は彼にどうして通報しないか聞きたかった。

でも彼女は怖かった。輝明が後始末をしていると言ったらどうしようと思ったから。

彼女は輝明と何か関係を持ちたくなかったし、ましてや彼に借りを作りたくもなかった。もう二人の関係は清算されたからだ。

輝明は特に気にせず、ただ綿が本当にお腹が空いているだけだと思った。

ウェイターはすぐに料理を運んできた。

綿は午後にコーヒーを飲んだだけで、一日中何も食べていなかったので、食べるスピードが少し速かった。

輝明は彼女に尋ねた。「いつ帰るんだ？」

綿は彼をちらりと見て、「分からない」と答えた。

「一緒に帰ってもいい」彼は誘った。

綿は微笑んだ。「いいえ、元夫さん」どれほど気まずいことか。

輝明は唇を引き締め、意味深に綿を見つめた。「君は俺を怖がってるのか？」

「考えすぎだよ」綿の口調は平静だった。

輝明を怖がる？そんなことはない。

ただ彼女は輝明と何か絡むことを望んでいなかっただけだ。

「綿」彼は綿の名前を呼んだ。

綿は彼を見なか