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第0380話

彼の心は乱れていた。昨日の夜、玲奈が突然彼にキスをしただけで、彼の中の何かが抑えきれなくなった。

そして最も悩ましいのは、その瞬間の感覚が、彼にとって少し心地良いものだったことだ。

……ちくしょう……

……

次の日、早朝。

まだぐっすりと寝ていた綿は、隣で爆発したように叫ぶ玲奈の声で目を覚ました。

「うわああああ!」

綿はぼんやりと目を開け、玲奈の方をちらっと見たが、再び目を閉じて眠ろうとした。

しかし、玲奈のスマホが再び鳴り始めた。それはマネージャーからの電話だった。

「もうダメだ…終わった…」玲奈は焦りで手が震えていた。

綿は目をこすりながら起き上がった。一体何が起きたの?

綿がスマホを確認すると、彼女も驚きの声を上げた。「うわっ……」

「人気女優と大手企業の社長の熱愛スクープ、二人は昨夜クラブで情熱的にキスを交わし、その後一緒に別荘に戻り、社長はかなりの時間を過ごしてから帰ったとのこと」

玲奈はベッドに座り、放心状態で綿を見つめていた。「綿ちゃん、私、昨日一体何をしたの?」

綿「……何をしたのか、私も知りたいんだけど?」彼女も同じ疑問を抱えていた。

メディアが報じた写真には、玲奈と秋年がクラブのトイレ前で情熱的にキスをしている姿がはっきりと映っていた。

このシーン、彼女は見逃していた!

だから、昨日の夜、水を買って戻ったとき、玲奈が秋年にしがみついていたんだな…。

秋年、このとんでもない男め! 女たらしが!

マネージャーからの電話が再び鳴り、玲奈は完全に取り乱していた。「私…本当に、岩段秋年にキスしたの?」

綿も知らないが、写真がすべてを物語っている。

どうやら、本当にキスしていたようだ。

待って…それじゃ、秋年の首筋にあったキスマーク、あれってまさか玲奈が残したもの?

再びマネージャーの電話が鳴り、玲奈は困り果てていた。

「もう出た方がいいわよ。逃げていても仕方ないから」綿は冷静にアドバイスした。

玲奈はしぶしぶ電話に出る。

「玲奈! 今すぐ会社に来なさい!」マネージャーの声が激しく響いていた。

玲奈もそうしたかったけど。

玲奈は深くため息をついた、外を見ると記者たちが待ち構えていた。「外に出られないわ…外に記者がいるの…」

「もう、どうしようもないわね!」マネージャーはため息をつきながら、「休み
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