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第0387話

「いやいや、そんなことしないで」秋年はすぐに玲奈の茶杯に手を伸ばして軽く当てた。

玲奈がこんなにも礼儀正しい姿を見せるのは、秋年には少し慣れないものだった。

彼にとっては、むしろいつも通りに冷たく対応し、時々彼に皮肉を飛ばしてくる玲奈の方が居心地が良かった。

「よし、それじゃあこの件はこれでおしまいだな!」須田先生が手を叩いて言った。「岩段社長、本当にありがとうございます。心から感謝しています。

「今後何かありましたら、全力で岩段社長をサポートいたします!」

さすが須田先生、マネージャーとしての言葉は完璧で、その場をなごませるのがとても上手だった。秋年もこの丁寧な言葉に心地よさを感じた。

綿が水を飲もうとした瞬間、彼女のスマホが鳴った。

桑原看護師「桜井先生、佐藤旭が危篤です。すぐに戻ってください」

綿はすぐに立ち上がり、「病院に緊急事態が発生しました。私はここで失礼します」と言って、急いでその場を立ち去った。

他の誰かが言葉を発する前に、綿はすでにドアを閉めて去っていた。

玲奈は一瞬ぼんやりとして、その早さに驚いた。

病院に到着すると、綿はすでに小栗先生と合流していた。

「どういう状況ですか?」綿は白衣を急いで着ながら、病室に向かって足を速めた。

小栗先生は首をかしげながら答えた。「異物が喉に詰まって、呼吸ができなくなったらしいわ」

「えっ?誰か彼の病室に入ったんですか?彼は一日中何も食べていないはずなのに、どうして異物が詰まるのですか?」綿は病室のドアを押し開けた。

桑原看護師と須田先生が中で処置をしていた。

「須田先生も来たのね」綿は驚いた。

須田先生は軽く頷き、今夜は彼女の夜勤だった。

「患者のバイタルが徐々に低下しています。血圧も下がり続けていて、異物は見つかりませんでした」須田先生は小栗先生に簡潔に報告した。

小栗先生はすぐに患者の瞳孔を確認し、モニターに目をやった。

血圧と心拍数はますます低下していた。

「主任、心停止です!」桑原看護師がすぐに報告した。

小栗先生はすぐに指示を出した。「除細動器を準備して!アドレナリンも!」

綿は急いで除細動器を持ってきて、桑原看護師がアドレナリンを投与した。

「全員下がって!」小栗先生は除細動器を手に取り、パドルを擦り合わせながら、モニターに目を向けた。

まもなく、バ
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