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第0388話

「でも、まだあんなに小さいのに」綿は眉をひそめた。

須田先生は微笑んで、「そのうち大きくなるわよ。今のうちに経験を積ませておかないとね。あなたと小栗先生は早く帰って休んで」と言った。

綿は無言で、特に何も言わずに小栗先生と一緒に病院を後にした。

エレベーターの中で、綿は数字が変わるのを見つめながら、小栗先生が口を開いた。「彼女がこんなに頑張っているのは、副主任のポストがかかっているからよ」

「彼女の経歴は、副主任にふさわしいんですか?」綿は小栗先生に尋ねた。

小栗先生は意味深に微笑みながら、「ふさわしいわ」と答えた。

馬場主任を除けば、彼女が最適任だろう。

この言葉で、綿は確信を持った。副主任の位置は、須田先生のものだということがほぼ決まったようだ。

綿は帰宅途中、玲奈から電話を受けた。

「大スター様、お話は終わりました?」綿は冗談っぽく言った。

玲奈はしょんぼりとした声で答えた。「終わったよ。マネージャーに捕まってしまったから、しばらく会えないわ」

「またしばらく大スターに会えないのね?」綿は笑いながら聞いた。

「クルーズパーティーで会おう」玲奈は言った。

……

週末。

綿はあくびをしながら階下に降りてきた。

天河は、まだ眠そうな娘を見て、テーブルを軽く叩きながら言った。「綿ちゃん、今日はパパが友達とテニスをする予定なんだが、一緒に行かないか?」

綿は目を上げて、テニスか……。

「いいわよ」

「じゃあ、すぐに着替えておいで。外で待っているよ」天河は娘が一緒に来ると言って嬉しそうだった。

綿は頷いて、着替えに戻った。

少し体を動かしてリフレッシュするのも悪くない。そうしないと体がなまってしまう。

今日は天気も良く、太陽も燦々と輝いていて、運動するには絶好の日だった。

綿は白いTシャツに黒いショートスカートを合わせ、髪をポニーテールにまとめて、爽やかな雰囲気を醸し出していた。

テニスクラブ。

桜井家の車が停まると、クラブのオーナーがすぐに出迎えてきた。「桜井様、桜井お嬢様!お越しいただき、ありがとうございます!」

綿は天河の隣に並び、オーナーに軽く微笑みを返し、礼儀正しく挨拶をした。

「今日は友達と約束しているんだ」天河はオーナーに言った。

「森川様がすでにお待ちですよ」オーナーは中を指差した。

天河は綿を連れ
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