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第0390話

「高杉社長、これで終わり?まだ本気を出してないんだが?」真一はネットに寄りかかり、笑顔でからかうように言った。

輝明は答えずに、水を一口飲みながら綿に視線を向けた。

綿は汗だくで、顔が赤く火照っていた。

彼女は何かがおかしいと感じた。真一と輝明の間には、妙な緊張感が漂っているように思えた。

「終わりよ。私ももうやめる」綿は真一に向かって手を振り、「シャワーを浴びて、そのまま帰るわ。森川さんは父と仕事の話でもしてね」と言った。

「じゃあ、家まで送ろっか?」真一は突然申し出た。

綿は驚いたが、すぐに丁寧に断った。「いいえ、ありがとう。でも大丈夫よ」

綿は女子更衣室に向かい、素早くシャワーを浴びた。

彼女は新しい服に着替えた。その服は上下にジッパーがついていて、上を少し下ろせば胸元が強調され、下を開けると少し特徴的なデザインが見える仕様だった。

綿は無意識に下のジッパーを少し開けた。

彼女が外に出ようとしたとき、入り口に輝明が立っているのに気づいた。

彼はポケットに手を突っ込み、壁にもたれていた。まるで大学生のような雰囲気を醸し出していた。

綿が出てきたことに気づくと、彼は顔を上げた。

二人の目が合った瞬間、綿は口にキャンディーを入れながら「待ってたの?」と聞いた。

「待ってた」輝明は素直に答えながら、綿の服装に一瞥を送った。

綿は頷いて言った。「何か話?」

輝明は一瞬テニスコートの方を見てから、彼女に向かって「森川真一とは距離を置け」と静かに告げた。

綿は目を細めて、「どうの面?」と聞いた。

「すべてだ」輝明は、真一が関わる仕事やプロジェクトだけでなく、綿自身も彼から距離を置くべきだと強調した。

「彼とそんなに親しかった?」綿は、輝明の周りに真一という名前の人物がいた記憶がなかった。

「余計なことは気にするな。俺の言うことを聞け。森川真一とは関わらない方がいい。それが君のためだ」輝明の声には重みがあり、真剣さがにじみ出ていた。

綿は理由は分からなかったが、輝明がわざわざ忠告してくれることに気を使い、少しだけ注意することにした。

「分かったわ」

彼女が立ち去ろうとしたとき、輝明が突然声をかけた。「待て」

綿は振り返り、少し不機嫌そうに「今度は何?」という表情を見せた。

輝明は唇を引き結び、彼女の胸元を指差して言った。「ジッ
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