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第0391話

輝明は結局、病院に足を運んだ。

小栗先生は、「佐藤旭は監獄でひどい目に遭った可能性があり、彼の体調は非常に悪い」と説明していた。

輝明は病室に足を踏み入れると、佐藤旭に繋がっていた医療機器はすでにすべて外されていた。

彼の手はベッドの端に垂れ下がり、その目には明らかに助けを求めるような光が残っていた。

佐藤旭は何かを言いたいようだったが、今の彼には声を出す力さえ残されていなかった。

輝明は彼にもう生きる価値がないことを知っていた。彼をここまで生かしてやったこと自体、すでに十分な情けだった。

輝明は身をかがめて佐藤旭の目を見据え、その視線には冷たい光が宿っていた。「佐藤旭、最後にもう一度聞く。あの時俺を助けたのは、陸川嬌か?」

佐藤旭は輝明を見つめていたが、その目は徐々にかすんでいった。

彼の唇が微かに動いたが、その声はほとんど聞こえなかった。

すると、佐藤旭は突然、輝明の腕を掴み、彼の手のひらにゆっくりと何かを書くように動かし始めた。

輝明は眉をひそめた。「R?」

「Rって、嬌のことか?」輝明は追及した。

しかし佐藤旭は止まらず、何度も同じ文字を描き続けた。

輝明がさらに何かを聞こうとしたその瞬間、佐藤旭の目が急に病室のドアの方に向けられた。

輝明がその視線を追ってみると、そこには綿の姿があった。

佐藤旭は輝明の袖をしっかりと掴み続けていた。

しかし次の瞬間、佐藤旭は目を閉じ、彼の手は力なく輝明の袖から離れた。

輝明の突然の来訪で、綿は確信した。この佐藤旭こそが、かつて輝明を誘拐した犯人であり、彼女に刃を向けた黒幕であると。

だが、輝明はここで何をしているのか? 彼はこの男に別れを告げに来たのだろうか?

医師と看護師が病室に入り、佐藤旭の遺体を処理し始めた。

輝明は数歩後退し、綿の腕を掴んで、まだ話したいことがある様子だった。

その時、森下が病室に入ってきて、「高杉社長、緊急会議です」と言った。

「キャンセルしろ」輝明は綿の腕を引いて外に向かった。

「それは難しいかもしれません」森下はスマホを見せ、そこには古株の株主からの着信が表示されていた。

森下が病室を振り返ると、佐藤旭の遺体にはすでに白い布がかけられていた。

綿は不思議な気持ちを抱きながら、輝明の手を振り払ってその場を離れた。

「俺が片付いたらまた会いに行く
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