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第0384話

もし本当に輝明を誘拐した男だとしたら、罰を受けるのも当然だ。

悪事を働けば、いつか必ず報いが訪れる。誰だって例外じゃない。

因果応報、時が来れば報いは必ず訪れる。

綿は朝の仕事を終えると、スマホを開いて今日の芸能ニュースをチェックした。

世間の矛先はすっかり秋年に向いており、からかう声や批判が飛び交っていた。

ネットユーザーA「さすが岩段秋年、こういうことをやりかねない男だよな!女性に対する尊重なんてまるでない」

ネットユーザーB「まさに冷徹な社長行動。でも二人ともお似合いだし、秋年社長が玲奈を落とせることを期待してる」

ネットユーザーC「酔っ払ったからって、女性に無理やりキスするなんて、まるで痴漢だ!」

綿は軽く舌打ちをした。

エレベーターが開くと、彼女は薬局へ患者の薬を取りに向かった。

「すみません、心外科の黄木さんの薬をお願いします」綿は窓口を軽く叩き、薬を受け取る準備をした。

看護師は頷き、薬を探しに後ろに下がった。

綿は暇そうに入口を見ていると、突然見慣れた影が目に入った。

それは嬌だった。

嬌はまっすぐこちらに向かってきていた。

綿は唇を引き締め、看護師に「もう見つかりましたか?」と聞いた。

できるだけ彼女と顔を合わせたくなかった。

「もう少しお待ちくださいね、桜井医生」看護師は薬を袋に詰めていた。

その時、嬌が声をかけてきた。「綿ちゃん、偶然ね。薬を取りに来たの?」

綿「……」

もう逃げられない。ならば正面から向き合うしかない。

綿は振り向き、白衣のポケットに手を入れたまま微笑み、嬌を見た。「そうよ。陸川さん、体調でも悪いの?」

「そうなの、明くんがこの間あんたを助けて怪我したでしょ。それで彼の薬を取り替えてるの。それに、あたしも安神薬を処方してもらったわ」

綿は輝明のことには触れず、後半の言葉にだけ答えた。「陸川さんは体が弱いから、しっかり体調管理しなきゃね」

嬌は心の中でどうしても綿に勝ちたいと思っていた。

「綿ちゃん。今日から明くんとの関係が安定していくわ。あんたには感謝してるの、明くんを返してくれてありがとう」

綿はすぐに手を挙げた。「ちょっと待って」

「彼は商品じゃないのよ。『返す』なんて言い方はやめて。彼があなたを愛しているなら、それはあなたのものよ」綿は目を細め、優しく微笑んだ。

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