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第 0352 話

綿は今日は黒の服装に身を包んでいて、まるで……混混の頭目、大姐のようであった。

会議室の扉が開かれ、綿は昨日彼女を誘拐した男を目にした。

「ほら、これが会いたがってた相手だ」男は押し込まれて入ってきた。

綿は彼をじっと見つめ、彼も綿を見つめ返した。

昨日までは意気揚々としていた彼も、一夜明けて今ではすっかり疲れ切っていた。

「やれやれ、やっぱりここで改心させられるんだね!」綿は彼を頭から足の先まで一瞥し、そして自分の前の椅子を指さして、座るように示した。

「何の用だ?」男は座ろうともせず、依然として頑固な態度を保っていた。

「話がしたいのよ」綿は笑みを浮かべて言った。

「話?見ろよ、その得意げな小者の顔を!」男は鼻で笑った。

確かに彼は独自のスタイルを持っている、優秀な殺し屋だ。

だが、彼が相手にしているのは綿であることを忘れていた。

「私たちのどちらかしか生き残れない運命だったの。私が生きているんだから、笑っちゃいけないの?」綿はさらに美しい笑顔を浮かべた。

男は綿をにらみつけ、怒りで血圧が上がるのを感じた。

「実はね、今日はあなたにとってとても大事なことを伝えに来たの」綿は彼を見つめ、真剣な顔をした。

男は彼女をじっと見つめ、次の言葉を待った。

綿は黙って短剣をテーブルに投げた。「話の前に、自分で腕を一刀切りなさい」

男:「?」

綿は瞬きをしながら、まるで無邪気な表情を浮かべていた。

男は驚愕して立ち尽くした。

彼女はこんなにも直接的なのか?まさか自分に一刀入れろと?一体何のために?

「輝明への復讐か?」彼は尋ねた。

綿は首を振った。「いや、彼のためなんかじゃない」

彼女は輝明のために復讐しに来たわけじゃない。「なんでもかんでも輝明に結びつけるなっての。私は独立した存在、綿なのよ!」

彼女は輝明の妻でも、高杉家の夫人でもない。ただの綿だ!

彼女自身のために復讐してはいけないのか?

男は何も言わず、綿はテーブルを叩いた。「さあ、自分で一刀切りなさい」

「警察!」男は外に向かって叫んだ。

脅されるにしても刑事課でなんて、冗談じゃない!

綿は腕を組み、どれだけ叫ぼうが誰も助けに来ないという表情を浮かべていた。

男:「……」

彼はよくわかっていた。一度捕まった以上、ここは綿の天下だ。

桜井家は四大家族の一つで
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