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第 0353 話

男はすぐに笑い出した。その笑いは明るく響き渡り、どこか耳障りでもあった。

「お前か!」彼は綿を上から下までじろじろと見つめ、その眼差しには綿に対する疑念と嘲笑が見て取れた。

綿は眉を上げて、「そう、私よ」

「ふん!」男は唾を吐き捨て、綿に向かって罵った。「お前は道の真ん中で迷ってるだけだろう。Mなんかお前が名乗れるものか?」

それに、女と一緒にやっていくぐらいなら、彼はむしろ死を選ぶだろう。

こんな話、仲間に聞かれたら、彼らは腹を抱えて笑うに違いない。

綿:「……」リズム感があるな。

綿は唇を引き締めて立ち上がり、淡々とした口調で言った。「信じるかどうかはあなた次第。ただ一つだけ聞かせて。出たいか?」

男は理解できない様子で綿を見つめた。彼女は何を言っているのだ?

「私があなたを救い出して、一緒にやっていくのはどう?」綿は微笑み、まるで純粋で無邪気な少女のように笑った。その笑顔からは、Mの背後に秘められた謎めいた基地の影などまったく感じられなかった。

男は何も言わず、ただ観察していた。

綿が狂ったのか、それとも彼が混乱しているのか?

彼女が彼を救い出し、さらに一緒にやっていこうと言うなんて、何を考えているのだろう?

「本気だよ」綿は真剣な眼差しで彼を見つめた。

彼女には特別な意図があるわけではない。ただ、彼女にはボディーガードが必要だった。

自分を守るために命を捧げる、そんな信頼できるボディーガードが。

彼女には自分を守る力があるとはいえ、予期しない出来事が多くあるのも事実だ。

弥生と嬌が一度手を下したなら、二度目もやってくる可能性は十分にある。ボディーガードがいれば、それに越したことはない。

この男、昨日の行動は確かに手厳しかった。しかし、綿は彼が骨のある男だと感じた。

一度彼を自分の下に引き入れれば、きっと命を懸けてくれるだろう。もちろん、彼が彼女を崇拝しているというのも重要なポイントだった。

だからこそ、彼女は彼を考慮に入れたのだ。

「どうやって自分がMだと証明するんだ?」彼は尋ねた。

綿は笑みを浮かべ、「Mの基地に案内してあげようか?」

男は綿を見つめ、唾を飲み込んだ。彼女の眼差しには冗談の欠片もなく、ただ真剣さだけがあった。

彼女……本当にMなのか?

男は信じられない気持ちだった。

綿はそばの人に軽く挨拶を
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